記事登録
2008年07月04日(金) 19時47分

<模擬裁判>「被害者参加制度」取り入れ実施毎日新聞

 犯罪被害者や遺族らが被告に直接質問したり、量刑に関する意見を述べられる「被害者参加制度」を取り入れた模擬裁判が3〜4日、東京地裁で開かれた。架空の交通事故が審理対象で、検察側と遺族側はそれぞれ懲役8年と10年を求刑したが、裁判員役の市民と裁判官は懲役8年の判決を言い渡した。

 被害者参加制度は、「刑事裁判で蚊帳の外に置かれてきた」という被害者の声を受けて導入が決まり、今年末までにスタートする。ただ、日本弁護士連合会などから「裁判員の適正な判断を損なう恐れがある」との懸念が出ており、最高裁は各地で同様の模擬裁判を実施して検証を重ねることにしている。

 模擬裁判の素材になったのは、飲酒運転の男の車が対向車と衝突し、相手を死亡させた危険運転致死事件。遺族と一緒に出廷した代理人弁護士は「本当に酒をやめる気があるか」などと被告に質問。最後に「家族の心の傷は大きい。こんな事故を起こしながら、酒をやめる保証はないと言っており、厳しい刑にすべきだ」と検察官より重い懲役10年を求めた。

 評議では、2人の裁判員役が「遺族の気持ちが和らぐと思う」などの理由で懲役10年を支持したが、多数決で懲役8年に落ち着いた。終了後、裁判員役の会社員、小島建(はじめ)さん(24)は「被害者側の求刑を考慮した。被害者側が20年を求刑したら、15年ぐらいが妥当と判断したと思う」と話した。主婦の玉井央子(ひさこ)さんは「感情に流されないことが必要で、遺族の訴えで量刑が変わってはいけないと思った」と語った。【伊藤一郎、安高晋】

【関連ニュース】
警察官不祥事:匿名や非公表の正当性を問う 警察発表実態調査から浮かぶ問題点
おうみ犯罪被害者支援センター:守山から移転、業務開始--大津 /滋賀
不招請勧誘禁止条例案:制定に賛否両論 健全業者排除の不安も--意見聴取 /秋田
人事:県警 /茨城
「治安」の最前線:12署長インタビュー/1 福井署・稲正和署長 /福井

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080704-00000103-mai-soci