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2008年07月04日(金) 02時31分

<エビ養殖詐欺>以前にも同様手口で600億円 黒岩容疑者毎日新聞

 フィリピンでのエビ養殖事業に絡む出資金詐取事件で、逮捕された「ワールドオーシャンファーム」会長、黒岩勇容疑者(59)は約10年前から、健康食品販売会社2社を舞台に巨額の出資金を集めては1〜2年後に破綻(はたん)させる今回と同様の手口を繰り返していたことが分かった。2社で集めた出資金は計約600億円に上る。警視庁などの合同捜査本部は、不正な集金システムを熟知した黒岩容疑者が今回の事件を主導したとみて追及する。

 黒岩容疑者らは「フィリピンでのエビ養殖事業に投資すれば、約1年3カ月後には出資額が2倍になる」などとだまし、05〜07年に約3万5000人から約849億円を集めたとして、組織犯罪処罰法違反(組織的詐欺)容疑で逮捕された。

 関係者によると、黒岩容疑者は80年代に知人男性と健康食品販売会社「ユーゼン」を都内に設立。98年1月ごろから「出資した金が1年で3倍になる」などと勧誘して出資を募り始めた。出資会員が新たな出資者を見つけると紹介料を支払っていた。ユ社は全国の約3000人から約300億円を集めたが、00年6月に倒産した。

 99年10月には健康食品販売会社「アイエーエスプロデュース」を茨城県内に設立。都内に拠点を移した01年2月以降「販売事業に出資すれば1年で倍の配当を得られる」などと出資者を募り、約2万人から約300億円を集めたという。しかし02年1月に会員への支払いが停止され、02年4月には解散した。

 黒岩容疑者はユ社では副社長、ア社では社長を務めていた。

 いずれも刑事事件には発展しなかったが、ア社を巡り、広島市内の会員らが02年5月、黒岩容疑者らを詐欺や出資法違反容疑などで広島県警に告訴。同9月には同市内の会員らが黒岩容疑者らを相手取り出資金の返還を求める民事訴訟を広島地裁に起こしていた。

 また国民生活センターによると、ア社に出資した投資家らからの苦情相談も数十件寄せられたという。

 黒岩容疑者の知人男性は「まず金を集められるだけ集める。マスコミや被害者の動きを察知すると姿をくらますのがパターンだった」と話す。ワ社の場合も、養殖事業への出資を集め始めた約2年後の07年1月以降に突然配当を停止し、同5月には破綻している。【武内亮、町田徳丈】

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