記事登録
2008年07月04日(金) 06時56分

大阪府財政、“不良債権”が圧迫 滞納・未返納額492億円産経新聞

 大阪府の府税収入や府営住宅の家賃収入などの滞納や未返納の総額が平成18年度末で約492億円に上ることが3日、わかった。結果的に回収不能となった不納欠損額も同年度で約99億円に達し、14年度からの5年間で計約342億円にのぼっていた。橋下徹知事が府の財政再建策として、職員の人件費345億円の削減など今年度で総額1100億円の収支改善を図ろうとしている中、膨大な“不良債権”が、府の財政を圧迫している状況が浮き彫りとなった。

  ■写真で見る■橋下大阪府知事

 橋下知事は3日の府議会代表質問の答弁の中で「指針に基づき、債務者や保証人に粘り強く交渉する。払えるのに払わない人に対しては法的措置も辞さないなど、厳格な対応で臨む」と、回収強化に乗り出すことを強調した。

 府によると、約492億円のうち、府税の滞納額が約351億円と全体の7割超。滞納者の行方不明などによる不納欠損額も約86億円に上った。

 府税滞納額のうち、市町村に徴収を委任している個人府民税の滞納が約120億円、財産差し押さえなど滞納処分中のものや滞納者の生活困窮などで処分を一時停止しているものなど、直ちに徴収ができない滞納分が約152億円に上る。

 滞納者が納付を誓約したケースなど徴収の見込みが立ちそうな額は約101億円と全体の3割弱という。

 府税務室では差し押さえなどの滞納者への法的措置や、市町村との連携を強化して徴税を進めているが、担当者は「滞納者の生活を破壊してまで回収できないため、努力により徴収できるボリュームは限られている」とする。

 一方、府税以外の未納額は約141億円。最多は府営住宅の家賃滞納など約46億円で、中小企業高度化資金貸付金約30億円▽母子寡婦福祉資金貸付金7億4800万円▽高等学校の授業料滞納2億5900万円−などが続いている。

 回収は各担当課が行っているが、職員は通常業務もあり、回収や訴訟のノウハウに精通することが難しいという現状もある。滞納者に連絡を取っても「なぜ払うのか」「知らない」などと追い払われる悪質なケースもあり、中小企業への貸付金については、16年度から民間の債権回収会社に外部委託しているという。

 また、行方不明で連絡が取れなくなったり、企業が倒産するなどして回収できないケースも多く、回収できずに時効を迎えた府税以外の不納欠損額は、18年度で約13億円に上るという。

【関連記事】
橋下知事、関空負担金「やめることも辞さない」
橋下知事「経営革命起こす」 議員報酬削減も課題
橋下知事のボーナスは約153万円
橋下知事暗殺ネットで呼びかけ 大阪出身の男逮捕
特集「橋下大阪府知事」

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080704-00000901-san-pol