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2008年07月03日(木) 18時56分

ヤマダ電機の“納入業者いじめ”に公取委が「待った」オーマイニュース

 公正取引委員会は6月30日、株式会社ヤマダ電機に対し、独占禁止法に違反したとして排除措置命令を行なったと発表しました。具体的には、大規模小売業者による納入業者との取引における特定の不公正な取引方法(以下「大規模小売業者告示」)の違反です。

 一部報道では、「排除命令」としていましたが、「排除命令」は景品表示法違反の場合に行われるもので、正しくありません。

 ヤマダ電機は、店舗の新規オープンおよび改装オープンに際し、テレビ、冷蔵庫、パーソナルコンピューター、デジタルカメラ、家庭用ゲームソフトなどの納入業者に対し、無償で、店舗における商品の陳列、商品の補充、接客等の作業を行わせいました。その納入業者数は約250社で、延べ約16万6000人の従業員になります。

 また、パーソナルコンピューターおよびデジタルカメラの納入業者に対し、無償で、店舗における展示のために使用したものなどの「展示処分品」を販売するために必要なリカバリー設定など、初期化の作業を行わせていました。

 今回は家電量販店初の大規模小売業告示の「排除措置命令」ということですが、今年に入って同様の違反で排除措置命令が出ているのは2件あります。

 5月23日に株式会社マルキョウに対して、6月23日に株式会社エコスに対して。今回で3件目となります。

 そういえば、2005(平成17)年3月9日に同じように無償で納入業者を使っていたとして、優越的地位の濫用(らんよう)で勧告(昔はこういっていました)された「ドン・キホーテ」の社長は、ある新聞のインタビューでこんなことを発言していました。

 「納入業者が棚卸しを手伝うのは当たり前。納入業者は率先してやっている」

 これは、独自で採ったアンケートが根拠の発言でした。

 そもそも、バイイングパワー(商品取引で、買い手側が持つ購買力のこと。これにより、小売業者が商品を仕入れる際、強い販売力を背景にメーカーなどから価格や仕入量などで有利な条件を引き出せることができる)のある「ドン・キホーテ」が採ったアンケートなんて、納入業者は「ドン・キホーテ」の思うアンケート結果になるのは当たり前です。

 ちなみに、このとき「ドン・キホーテ」は審判(一種の行政裁判)で争っていましたが、2007(平成19)年6月22日、同意審決(要は違反を認めるということ)を行っています。

 このように、バイイングパワーが強いということで、従業員派遣や協賛金の提供(今回のヤマダではこれはありませんでしたが……)などが行われているのはどの業種も一緒のようです。

 ですから、「納入業者を派遣するのは当たり前」という大規模小売業者の意識を変えなければこのような違反はまた出てくるでしょう。ある新聞には、「ヨドバシカメラがヘルパー(納入業者の従業員の派遣)をやめる」という記事を見ました。

 これからは、ヨドバシカメラのような意識を持つ大規模小売業者が増えてほしいものです。

(記者:山田太郎)

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