記事登録
2008年07月03日(木) 15時03分

「7年は帰って来ない」黒岩勇容疑者、事業の犯罪性を認識読売新聞

 フィリピンでのエビの投資事業を装った「ワールドオーシャンファーム」(破産)による巨額詐欺事件で、警視庁に逮捕された同社会長の黒岩勇容疑者(59)が、昨年5月、フィリピンに逃亡する直前、「詐欺の時効(7年)の間は帰らない」と周囲に話していたことがわかった。

 黒岩容疑者は「だますつもりはなかった」と、容疑を否認しているが、過去にもマルチ商法で多額の金を集めたまま、フィリピンに逃げており、同庁は、黒岩容疑者がエビ養殖事業は詐欺罪にあたると認識していたとみて追及している。

 同庁幹部らによると、黒岩容疑者は昨年5月下旬、出資者に、「台風がエビの養殖場を直撃して損害を受けた。民事再生法の適用を申請する」と一方的に通知した後、同26日、他人名義の偽造旅券でフィリピンに出国していた。

 この直前、黒岩容疑者は、偽造旅券の入手に協力した部下に、「7年分の報酬」と称して3500万円を渡し、「7年は帰って来ないかもしれない」と話したという。

 黒岩容疑者は1998年から、マルチまがい商法の会社「ユーゼン」(東京)の幹部として、「入会金100万を払ってブランド品や化粧品を購入すると、月25万円が還元される」とうたって、約3000人の会員から数十億円を集めたが、2000年秋、会員への配当が滞り、同社は破たん。

 99年10月に設立した健康食品会社「アイエーエスプロデュース」(同)では、「代理店になれば1年で出資金の倍の助成金を払う」と勧誘し、約2万人の会員から約200億円を集めたが、02年4月、「幹部が金を持ち逃げした」として同社を突然解散していた。

 この時、会員から詐欺罪で告訴されたが、偽造旅券でフィリピンに逃亡していたという。

 一方、同庁は、新たに同社副社長の野田正喜容疑者(57)ら7人を組織犯罪処罰法違反(組織的詐欺)容疑などで逮捕した。

http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20080703-OYT1T00495.htm