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2008年07月03日(木) 02時34分

<エビ養殖詐欺>現地の養殖場にエビなし 幹部ら9人も逮捕毎日新聞

 フィリピンでのエビ養殖事業に絡む出資金詐取事件で、逮捕された「ワールドオーシャンファーム」(東京都品川区)会長の黒岩勇容疑者(59)らが投資を募っていた現地のエビ養殖場には、エビがほとんどおらず、「東京ドーム450個分」と宣伝した広さも実際は65ヘクタールしかなかったことが分かった。警視庁と長野県警などの合同捜査本部は2日、新たに統括部長、真島晶子(47)=大阪府高槻市津之江町1=ら幹部と従業員計9人を組織犯罪処罰法違反(組織的詐欺)容疑で逮捕した。【武内亮、町田徳丈】

 ほかに逮捕されたのは、▽営業部長、山本敬次(74)=千葉市稲毛区あやめ台▽資金管理センター長、黒岩厚宏(28)=さいたま市中央区本町西1=ら。

 黒岩容疑者らは「養殖事業に投資すれば1年3カ月後に出資額が2倍になる」などと言って昨年2〜5月、約30回にわたって鹿児島市内の男性(64)ら30人に計1億1940万円を出資させ、だまし取った疑い。不正に集めた金は05〜07年で約849億円に上り、分配金などを除いた約429億円が焦げ付いたとみられる。

 調べでは、黒岩容疑者は05年3月ごろから、全国各地で「フィリピン・ルセナ市に東京ドーム450個分の養殖場を借りてエビ(ブラックタイガー)を養殖し、販売利益を配当する」と勧誘、出資を募り始めた。

 しかし、警視庁が捜査員を派遣して調べたところ、ワ社が現地の地主から借りた養殖場は宣伝の数十分の1程度の65ヘクタールだった。パンフレットにあったブラックタイガーは養殖されておらず、ため池があるだけだったという。

 また、約849億円のうち養殖事業に投資したのは数千万円程度で、大半は会員への分配金や紹介料(コミッション)に充当していた。黒岩容疑者も今年5月の旅券法違反事件の公判で「(養殖事業に)投資したのは3500万円だった」と明かしていた。集めた出資金を運用せず、会員への分配金に充てる「自転車操業」を続けていたとみられる。

 黒岩容疑者は長男宅や墓地に現金数億円を隠していたほか、米国内の口座に4000万ドル(約42億円)を送金していた。FBI(米連邦捜査局)は昨年4月にこの口座を凍結しているが、被害対策弁護団(団長、栗原浩弁護士)は2日会見し、被害者側がワ社幹部らに対し損害賠償請求の訴訟を検討していると明らかにした。東京弁護団によると、被害者は50〜60代の女性が多く、最も被害額が大きかったのは約1億1800万円だった。

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