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2008年07月02日(水) 18時14分

エビ養殖の詐欺容疑で投資会社会長を逮捕中国新聞

 投資会社「ワールドオーシャンファーム」(東京、破産手続き中)によるエビ養殖投資詐欺事件で、警視庁などの合同捜査本部は二日、組織犯罪処罰法違反(組織的詐欺)の疑いで、同社会長の黒岩勇容疑者(59)を逮捕した。同日までに幹部ら十数人の逮捕状も取っており、近く逮捕する方針。

 ワールド社は「フィリピンでのエビ養殖事業などに投資すれば一年で倍になる」などとうたって配当金を支払うことを約束し、長野、愛知、兵庫、広島、沖縄の五県を中心に全国の約四万人から約六百五十億円を集めたとされる。

 合同捜査本部は、エビ養殖の実体はなく、集めた金を配当に直接回していたと判断。黒岩容疑者らを追及し、巨額詐欺商法の全容解明を進める。

 調べでは、黒岩容疑者らは、鹿児島県在住の男性(64)ら三十人から約一億二千万円を銀行口座に振り込ませ、だまし取った疑い。黒岩容疑者は「だますつもりはなかった」と容疑を否認しているという。

 ワールド社をめぐっては昨年二月、国内の郵便の口座から米国の銀行口座に約四千万ドル(当時のレートで約四十八億円)を送金していたことが判明。合同捜査本部は投資金をマネーロンダリング(資金洗浄)しようとした同法違反(犯罪収益の隠匿)の疑いでも捜査する方針。

 群馬県にある黒岩容疑者の実家の墓などからは現金数億円も見つかっている。

 ワールド社は二○○一年設立。匿名組合を受け皿に一口十万円で投資を募っていたが、○七年一月から配当を停止。同年七月に警視庁が詐欺容疑で役員宅などを家宅捜索していた。

 黒岩容疑者は他人名義の旅券でフィリピンに出国したとして旅券法違反容疑などで昨年十二月に逮捕され、今年五月に懲役三年、執行猶予五年の有罪判決を受けていた。

http://www.chugoku-np.co.jp/News/Sp200807020245.html