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2008年07月02日(水) 03時00分

法律概念、完全理解は不要=難解争点の裁判員裁判−最高裁司法研時事通信

 来年5月から始まる裁判員制度に向け、最高裁司法研修所は1日までに、殺意や正当防衛、責任能力など難解な法律概念が争点となる事件について、裁判員に判断してもらうための方法を示した研究報告の骨子をまとめた。法律概念を裁判員に完全に理解してもらう必要はなく、特に重要となる立証上のポイントに絞って説明し、検察側と弁護側にもこれに沿った立証を求めるとした内容。
 研究は裁判官4人と学識経験者2人が担当。難解概念事件での裁判官の指針となりそうだ。
 報告は、難解用語を日常の言葉に置き換えて説明するだけでは、裁判員の理解に限界があると指摘。その事件で何が明らかになれば争点の立証ができるのかというポイントを裁判員に示す必要があるとした。
 例えば殺意が争点になる場合、頭部に拳銃を突き付けて発砲したとされる事件であれば、本当にその行為があったかどうかが立証の最大ポイントとなる。一方、刃物で切りつけた事案なら、殺害するほどの動機があったかや、犯行後に救急車を呼んだかなど、事件内容に応じたポイントを示すことになる。
 この立証ポイントについて裁判員が判断できれば、「殺意」という用語の意味を正確に理解していなくても、結果的に殺意の有無について結論が出せるという考え方だ。
 裁判官は、公判前整理手続きで争点が決まった後に検察官、弁護士と協議し、その事件の立証ポイントを確認。双方にこれに沿った立証を要請する。判決前の評議では、このポイントについて検察側が証明できたかを裁判員と議論する。
 1日から始まった全国の裁判官を集めた研究会で報告内容を討論。今秋に最終報告を完成させる。 

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