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2008年07月02日(水) 11時13分

<エビ養殖詐欺>投資会社会長ら十数人逮捕へ 警視庁など毎日新聞

 フィリピンでのエビ養殖事業に絡む出資金詐取事件で、警視庁、長野県警などの合同捜査本部は、組織犯罪処罰法(組織的詐欺)違反の疑いで投資会社「ワールドオーシャンファーム」(東京都品川区)の黒岩勇会長(59)ら同社幹部など十数人の逮捕状を取り、2日にも逮捕する方針を固めた。ワ社は投資目的とだまし約4万人から約650億円を不正に集めていたとみられ、捜査本部は巨額詐欺事件の全容解明を進める。

 調べによると、黒岩会長らは「フィリピンでのエビ養殖事業に投資すれば、元金が1年で2倍になる」などとうそをつき、投資家から多額の出資金を組織的に詐取した疑い。

 ワ社は01年7月の設立。05年3月以降、全国で説明会を開き、フィリピン・ルセナ市に東京ドーム450個分の養殖場を借りてエビを養殖し、その販売で得た利益を配当するという触れ込みで勧誘。05〜07年に約4万人から約650億円を集めていたとみられる。

 黒岩会長らは、匿名組合を受け皿に1口10万円で出資を募る一方、出資した会員が新たな投資家を紹介した場合、手数料を受け取ることができるマルチ商法の手法を取り入れ、会員を大幅に増やした。しかしエビ養殖の実態はなく、警視庁と長野、愛知、兵庫、広島、沖縄県警の合同捜査本部は、ワ社が当初から出資金を詐取する目的で、架空の養殖事業をでっち上げていた疑いが強いと判断した。

 ワ社は07年1月以降配当を停止、同5月に経営破綻(はたん)し、会員に「養殖が台風の直撃を受け、利益確保が困難になった」と通知した。警視庁は同7月、ワ社など約30カ所を詐欺容疑で家宅捜索した。

 警視庁は昨年12月、他人名義の旅券でフィリピンに出国したとして、旅券法違反容疑などで黒岩会長を逮捕。東京地裁は5月に懲役3年、執行猶予5年の有罪判決を出した。

 ワ社を巡っては、FBI(米連邦捜査局)が米国内の口座に送金された4000万ドル(約42億円)を凍結。警視庁も黒岩会長の長男宅や墓地から現金数億円を押収している。被害対策弁護団は3月に破産手続きを申し立て、東京地裁が5月、破産手続き開始を決定した。【武内亮】

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