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2008年07月02日(水) 12時34分

<歌舞伎町火災>過失責任を認定 東京地裁判決毎日新聞

 44人が死亡した01年の東京・歌舞伎町の雑居ビル「明星56ビル」火災の東京地裁判決は、出火原因が特定されない場合でもビルの所有会社に重い過失責任を認め、多数の店舗が同居するビルのずさんな防火管理に警鐘を鳴らした。

 多くの犠牲者を出した雑居ビル火災では、118人が死亡した72年の千日デパートビル火災(大阪市)のケースがある。電気工事をしていた作業員が重失火容疑で逮捕されたが、嫌疑不十分で不起訴となり、出火原因は特定されなかったものの、最高裁は90年、所有会社幹部の管理責任を認めた。

 今回の判決はこの判例に沿った格好だが、放火の可能性が高い火災でも刑事責任を認めたことで、所有会社により厳格な防火管理を求めたといえる。

 火災の発生直後、消防庁は全国約8400の小規模雑居ビルの立ち入り検査を実施した。この結果、▽防火管理責任者の不選任▽消火器や避難器具の不備など、何らかの消防法違反に該当するビルが約92%に上った。

 02年に消防法が改正され、▽立ち入り検査の事前通告廃止▽有資格者による調査と消防署への報告義務などが定められたが、違反率は04年約61%、05年約51%、06年約51%と依然として5割を超えている。大惨事を繰り返さないためにも、ビルの所有会社には徹底した法令順守が求められる。【伊藤一郎】

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