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2008年07月01日(火) 16時20分

日系企業、撤収するならモラルあるやり方でオーマイニュース

 20〜30年前から多くの日系企業は韓国に現地工場を作り、安い賃金を利用して利益を得てきた。

 しかし、近頃韓国の目覚しい発展による賃金上昇などの要因から韓国から撤収する企業が増えている。問題はその撤収の仕方である。

 株式会社韓国シチズン精密は、シチズン時計株式会社の子会社であり、シチズンホールディングス株式会社の孫会社であり、1988年から韓国の昌原市で操業してきた。資本金44億ウォン(約4億円、88万株)で時計を製造し、全量輸出してきた。ここで製造された時計には「Made in Japan」のマークがはっきり書いてあった。

 今年4月28日午前緊急労使協議が行われた。会社は4月24日に日本の取締役会議で韓国シチズン精密株式会社を、高麗TTRという会社に株式88 万株全てを売却したという一方的な通告をした。4月24日の会議で売却が決定した翌日、勧告では全社員が参加する春の野遊会があったが、会社からは何の話もなかった。

 シチズン精密の事業場団体協約38条には「分割、合併するか、事業の全部または一部を他人に譲渡または分社しようとする場合、会社は90日前に組合に通報し、事前に組合と合意する」と書かれてある。まず、会社の売却はこの協約違反なのである。

 労働組合はこの売却を資本撤収のための偽装売却と判断している。会社は偽装売却することで社員に払うべき退職金などの責任逃れをしているという。

 実際に団体協約を破りながら密かに売却を進めたし、会社を買収した高麗TTRという会社は資本金が僅か2億ウォン(約2000万円)という規模の会社でとても買収できる会社でもない。また会社買収・売却の契約書も日本のシチズンホールディングスの要請により社員に公開できないという。

 これからの流れは2次売却、3次売却などの過程を経て支払いの責任をうやむやにしながら会社を廃業するのではと予想されている。労働組合は会社売却契約書の公開や団体協約を承継を文書化することを要求している。

 現在、韓国シチズンの労働者が日本本社と交渉するために来日しているが、会社側は交渉に応じていない。労働者たちは会社側とお互い合意点を見つけない限り韓国には帰らないと言った。

 シチズン資本は所謂グローバル企業である。20年前は安い賃金などを求めて韓国に会社を設立したが、近頃は日本と韓国の賃金の差はそんなに多くなくなるにつれて会社側も韓国から工場撤収を考えるのも十分理解できる。しかし、その最後の整理は偽装売却という長年働いた人を裏切るようなやり方ではなく、支払うべきものは支払うというグローバル企業の名に相応しい行動をとるべきであろう。

(記者:趙 文授)

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