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2008年06月30日(月) 16時00分

容器包装リサイクル法の不思議オーマイニュース

 先日、町内の女性の会が小松市(石川県)の出張講座として、生活安全課と環境美化センターのごみ処理にかかわる担当者をお願いした。私も係の1人としてそこに参加させてもらった。

 ごみの分別と市のごみの収集が始まってから随分たつ。すべてのごみを処分場に持ち込んだ時代から、さまざまな課題の噴出で、そのごみの分別の仕方も変遷して細かいものになった。現在の一番新しい取り組みはプラスチックごみである。

 1995年に制定された容器包装リサイクル法は2000年4月から完全実施され、地域では「プラの日」として1週間に1回、分別して収集されることとなった。

 これは大量に排出されるごみによって処分場がなくなってくるという現状に、容積比で62%を占める容器包装廃棄物(農水省容器包装リサイクルのホームページによる)の経費を製造業者にも負担させ、かつリサイクルしようというものである。

 それまでは、同じ容器でも、「空き缶」「紙パック」などの「資源ごみの日」や「空き瓶の日」「ペットボトルの日」など、リサイクルに取り組まれてきた。

 しかし、この法律によってこれまで一般ごみとされていたカップめんやお菓子の箱のラッピングフィルムといった商品の細かなごみを分別する必要が出てきたわけである。

 やっかいなのが同じプラチックでもそれが容器包装の対象になるか否かという見極めである。例えばクリーニングに出したスーツにかかってくる透明なカバーは容器ではなく、業者はその処理費用を負担していないのだから燃やすごみとして出さなければいけない。洗剤の中に入っている計量スプーンは製品の付属物で容器や包装ではない。乳飲料についているストローはそれを包むフィルムは対象になるがストローそれ自体は付属物なので燃やすごみになる。笑うに笑えない厳密な分類である。

 講習会では、間違いやすい6品目として、「洗剤の計量スプーン、ひも、プリンなどのスプーン、刺し身の偽笹(ざさ)、ストロー、乾燥剤」の写真が提示され、ベルトコンベヤーから流れてくるごみの中からそれを手作業で拾いだしている職員たちが映像で映し出されていた。

 市ではこうした出前講座をはじめとした啓発活動に取り組むと同時に細かな製品名を電話帳のように取り出せる冊子も作って各家庭に配布している。しかし、財源が違うからといってこうした厳密な分類を強いる法律とは一体なんなのだろう。

 「手作業で分類させなければいけない人件費は税金だよね」とは女性の会のメンバーの感想だ。地域の枠を外れ、分類などあるのかと思われるコンビニやパーキングエリア、駅などのゴミ箱を見ると、法律の対象業者枠の拡大や、容器包装の規定の見直しなどで分別の作業は軽減でき、税金も節約できるのではないだろうかと思う。

(記者:曽野 千鶴子)

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