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2008年06月30日(月) 15時49分

後を絶たない食品偽装事件オーマイニュース

食品偽装事案が次々に明るみに出ている。社長が不正競争防止法違反で懲役4年の実刑になったミートポープ事件、女将(おかみ)は責任を問われなかったが9.7億円の負債を抱えて破産手続きに入った偽装事件の船場吉兆、飛騨牛の偽装表示をした丸明、そしてウナギの産地偽装が明るみに出た魚秀は農水省をして隠ぺい工作のあくどさが最高グレードと言わしめた。

 吉兆は不正競争防止法違反(虚偽表示)で2人が書類送検されたというが、原料の原価を抑えるための偽装ではあったが、不正利益を得ていたとは言えず詐欺容疑の立件は見送ることになったと新聞は報道している。

 ミートホープの前例もある。どうして偽装問題が後を絶たないのか。不正な商行為でもうけを出している商売なので、止めれば家族や従業員を養っていくわけにいかず、止めるわけにいかないのだ。そんなわけで、他人の不正行為が明るみに出て同業者が罰せられても、自分の悪事は明るみには出ないだろうという安心感が、教訓として生かされないのではないだろうか。

 しかし、経営者の資質にはいろいろあるものだ。ほとんどの経営者は、最初は従業員の所為にして自分は何とか責任を逃れようとするが、すぐに自分の責任だと言わざるを得ない状況になる。ワンマン経営者であれば誰だってそう思うんだけれど本人は自覚していない。

 謝罪会見で非を追求され、「申し訳ございません」と言わざるを得ないことになるが、経営者としてのセンスがない。

 ところが反対に、中国産ウナギの産地偽装し、口止め料まで出し最悪の隠ぺい工作が明るみに出た魚秀の社長は、最初から自分の責任でやったという。詐欺まがいの行為で不正な利得も得ていたと思うが、丸明の吉田社長のキャラクターが受けると思ったのかメデイアは魚秀の事件を大々的に報じない。

 食品の分野では、消費者が賢くなることが先決だとも言う。偽物を見分けるのは本物を知ることだという。わたしも中国産のウナギと国産のウナギは外観、触感から見分けは付くが、肉はむずかしい。古いか新しいかは特殊な光を当てている「棚ケースから取り出して色を見ろ」とも言われているが、栄養学的には腐りかけの肉がうま味はあるという。味は食ってみなければ分からない。

 消費者に与える情報としての産地表示は重要な情報で、産地偽装は詐欺行為である。不当利得が大きい場合に詐欺罪の立件が可能になるらしいが、JAS法での改善命令では消費者は納得できない。結局、自由市場経済ではだまし合いの商売が横行していることになる。消費者が賢くなることだ。

 こんな偽装問題を抱えた会社がどうしてやっていけるのか。ミートポープの元社長は、「消費者は安い物を買い求めている」として消費者にも偽装問題での責任があることを暗に言及した。丸明の社長の謝罪会見を見ていた元従業員は「こんな会社辞めておいて良かった」という。

 福田さんは今までの縦割り行政でなく、横割り行政で食品などの安全を確保するために消費者省を新設するという。丸明の偽装も業界内ではうわさされていた違法行為だったという。あらゆる情報を得、敏速に行動する役所であって欲しい。

(記者:矢本 真人)

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