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2008年06月30日(月) 11時37分

寅さんと一緒に大正の木造駅舎に別れを告げた日オーマイニュース

 茨城県取手市と筑西市を結ぶ関東鉄道(本社・同県土浦市)常総線で、大正期から残る「騰波ノ江(とばのえ)駅」(同県下妻市)の木造駅舎が建物の老朽化を理由に7月から改築工事が始まって姿を消すことになり、さよならイベントが6月28日(土曜)に開催された。イベントには、フーテンの寅さんのそっくりさんも参加、時代がタイムスリップしたようなムードに包まれた。

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 騰波ノ江駅の名前の由来は、万葉集「鳥羽の淡海」と記された旧村名。駅舎は1926(大正15)年8月15日に駅が開業当時からの姿を残し、常総線最古の木造駅舎として風情あるローカル色豊かな雰囲気だ。

 2000(平成12)年には関東の駅百選に認定されている。また、映画「下妻物語」の撮影にも使用されたり、テレビ、CM、プロモーションビデオなど多くの撮影に使用された。

 このさよならイベントでは先着500名に記念入場券が進呈され、鉄道グッズや乗車券類の発売、さらに地元物産の販売がされた。駅舎内では、有人駅だったころの駅務室内の一部が一般開放された。

 午後にはイベント列車の運行もあり、旧常総筑波鉄道時代の塗装で走る「キハ102号車」と国鉄時代の朱色の塗装で走る「キハ101号車」という人気のある車両で2本の列車が連続して運転され、また往復運転されることが非常に珍しいということである。

 さらに、このさよならイベントに「フーテンの寅さん」のそっくりさんで役者の植木定男さんが訪れ、「男はつらいよ」の映画シーンさながらの一幕を見せてくれた。

 1999(平成11)年3月31日まで有人駅であった頃、長年に渡って駅を守り続けた小坂輝男さんも駅務室を訪れ、「フーテンの寅さん」が出札口できっぷを買うシーンは、時代が逆戻りをしたかのような何とも言えない感動するものがあった。

 いつもは平静な騰波ノ江駅にもかかわらず、この日は朝早くから多くの人が訪れ、木造駅舎に別れを告げた。

(取材協力:関東鉄道)

(記者:勢 芳明)

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