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2008年06月30日(月) 02時33分

<新銀行東京>都幹部が都議らと銀行を仲介 融資口利きで毎日新聞

 経営難に陥った新銀行東京(東京都新宿区)を巡る都議らの口利き問題で、都幹部らが銀行と都議の仲介をしていたことが分かった。都議から持ち込まれた中小企業の融資案件などを銀行側に伝えていたといい、公平・中立が求められる行政のあり方として不適切との批判が出ている。

 新銀行東京は都が1000億円を出資して05年4月に開業。中小企業向けの無担保融資をうたい、都議らが融資の口利きを繰り返していた。

 支持者の会社社長から融資について相談を受け、口利きをしたという自民党都議は「新銀行の人間は知らないから、都につないだ。産労(産業労働局)か何かだった」と話す。民主党都議は「知人から『新銀行が返済条件の変更に応じてくれない』と相談を受けたので、都の幹部に掛け合った」と説明。都内に地盤を持つ自民党衆院議員は「都の幹部に融資の紹介をし、『駄目でも結果は教えて』と頼んだ覚えがある」と証言した。いずれのケースも後日、銀行側から議員本人や会社に回答があったという。

 一方、当時の都産業労働局幹部も「設立時は新銀行を応援しようという空気が都議の中にあり、時々融資先の紹介などをいただいた。話はこちらから新銀行につないだ」と仲介行為を認めている。

 公務員に対する議員の口利きは汚職などを生むとの反省から、一部の自治体は内容を記録する制度を導入している。都は制度化していない。元幹部は「(口利きの)記録は取っていなかったように思う」と話している。

 ▽全国市民オンブズマン連絡会議の事務局長を務める新海聡弁護士の話 金融庁の官僚が国会議員から依頼を受け、その内容を特定の銀行に仲介していたら大きな問題だ。都は新銀行のスポンサーであり監督機関でもある。口利きの仲介は銀行への圧力とみることもできるし、行政の公平性・中立性からも問題がある。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080630-00000014-mai-soci