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2008年06月30日(月) 23時15分

増える無罪判決、否認事件では2・9%で過去最高産経新聞

 最高裁のまとめによると、刑事裁判1審で起訴事実を否認した被告の無罪率(一部無罪を含む)が、昨年は過去10年で最高の2・91%に上った。殺人事件だけをみると、1審で昨年、無罪になった被告は5人で全員が否認。最近は心神喪失と認定されて無罪となるケースも目立っている。

 最高裁によると、昨年中に1審判決があったのは6万9238人。うち公判で起訴事実を否認した被告は4904人だった。

 1審で起訴事実がすべて無罪になったのは99人で、無罪率は0・14%。これに対し、否認事件での全部無罪は97人、一部無罪は48人で、両方を合わせた無罪率は2・91%になった。

 否認事件の無罪率(一部無罪を含む)は、平成14年までは1%台で推移していたが、15年には2・1%となり、以後2%台になっている。

 また、最近目立つのが精神鑑定の評価をめぐる無罪だ。茨城県土浦市で平成16年、両親と姉を殺害したとして殺人罪に問われ、死刑を求刑された男性被告に、水戸地裁土浦支部は27日、「犯行時、心神喪失状態だった」として無罪を言い渡した。大阪地裁では26日、大阪府八尾市で18年、兄を刺殺したとして殺人罪に問われた無職の男性被告が無罪とされた。地裁は「統合失調症で人格が変化し、善悪の判断ができない状態だった」と認定している。

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