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2008年06月28日(土) 19時03分

<韓国>米国産牛肉輸入反対デモが過激化…メディア襲撃も毎日新聞

 【ソウル中島哲夫】韓国の米国産牛肉輸入反対デモが過激化し、機動隊と衝突するだけでなく、デモに批判的な保守系大手紙の本社を襲撃したり、取材カメラマンや一般市民に暴行するといった事例が相次ぎ始めた。

 5月に始まった一連のデモは機動隊との衝突や警察車両の破壊へと次第にエスカレート。李明博(イミョンバク)政権が米国との追加交渉を受けて牛肉輸入再開の手続きに踏み切ると、一気に過激化した。

 26日から27日にかけて、いずれも夜間にデモ隊の一部がソウル都心にある朝鮮日報、東亜日報の社屋に押しかけ、ハンマーなどで正面玄関の社名ロゴや大型回転ドアのガラスを破壊、周辺にゴミを積み上げたり汚物をまくなどした。

 朝鮮日報社屋と接続しているホテルも植木鉢や入り口のガラスを割られたうえ、ロビーに大量のゴミを投げ込まれ、職員3人はデモ隊から殴るけるの暴行を受けた。

 東亜日報カメラマンは取材中、デモ隊に引きずり回されたあげく殴られて失神、病院に運ばれた。朝鮮日報カメラマンも酒ビンを投げつけられて負傷した。

 28日付の朝鮮日報によると、ホテル被害の現場で抗議した女性市民がデモ隊に取り囲まれ、乱暴を止めようとした男性市民とともに殴られた。ホテル襲撃を主導した男を追跡し逮捕しようとした刑事も周辺のデモ隊の暴行で妨害され、容疑者は逃走した。

 デモの規模は6月10日をピークに縮小傾向にあるが、一般市民の参加激減に伴い、本気で李政権退陣を求める戦闘的メンバーの比率が増大。左派系の新聞や、政府の官業民営化方針に反発する公営や半官半民の主要放送局は「警察の過剰鎮圧」を強調するなどデモ隊に好意的な報道を続けているが、もはや「非暴力の市民デモ」とは主張しにくい状況になっている。

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