記事登録
2008年06月28日(土) 15時01分

<丸紅巨額詐欺>香港警察が斎藤容疑者を逮捕 資金洗浄容疑毎日新聞

 総合商社「丸紅」の偽造稟議(りんぎ)書を使った巨額詐欺事件で、医療コンサルティング会社「アスクレピオス」(破産手続き中)前社長、斎藤栄功(しげのり)容疑者(46)=詐欺容疑などで逮捕=が警視庁に逮捕される直前に、中国・香港でも現地警察にマネーロンダリング(資金洗浄)の疑いで逮捕されていたことが分かった。警視庁捜査2課は、斎藤容疑者が違法収益を海外で洗浄しようとした可能性もあるとみて追及する。【鳴海崇、杉本修作】

 斎藤容疑者と丸紅の元社員ら計4人は05年4月〜07年11月、米証券大手リーマン・ブラザーズなど約200の個人・法人に病院再生事業への投資を持ちかけて約1080億円を集めた。この事業は架空で、捜査2課は、当初からだまし取るつもりだったとみている。約470億円が回収不能になり、使途が分からなくなっている。

 捜査関係者によると、斎藤容疑者は今年3月上旬、架空投資がアスク社の社内で発覚すると周囲と連絡を絶つようになった。さらにメディアが不正を報じた3月28日の直前、香港に向け出国。現地でマンション一室を借りて生活し、関係者を通じて早期帰国を求める警察当局の求めを拒んでいたという。

 ところが、香港滞在中に現地警察が斎藤容疑者のマネーロンダリングに関する情報を入手。今月11日に同容疑で逮捕していた。現地の米国系銀行の口座には数千万円が入っていたという。

 しかし、斎藤容疑者は百数十万円の保釈金を支払って2日後には釈放され、15日朝に日本に帰国した。成田空港に到着後、捜査2課に詐欺などの疑いで逮捕された。

 斎藤容疑者は投資家から集めた出資金の一部を、複数回に分けてスイスや中国・マカオの金融機関に移動させ、数億円をプールしていたことが既に明らかになっている。今回の香港の数千万円は、これとは別に送金されていた。

 斎藤容疑者は「だました事実はない」と容疑を否認しているが、捜査2課は、多額の資金を海外に移動させていたことが、詐欺容疑の裏付けになるとみて、資金の流れの解明を進めている。

【関連ニュース】
領収書偽造:地検に堂々偽領収書、ばれると詐欺被害届 容疑の男逮捕 /徳島
比内鶏偽装:元社長、詐欺などで起訴 5人は処分保留
比内鶏偽装:被害6300万円に 元社長を追起訴 /秋田
年金不正受給:青森の47歳男、詐欺罪で起訴 /青森
詐欺:売却額を偽り弁済、抵当を外した疑い 県警、3人逮捕 /茨城

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080628-00000058-mai-soci