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2008年06月27日(金) 08時02分

【Re:社会部】アフリカと日本人神父産経新聞

 7月、北海道洞爺湖サミットが開催されます。アフリカ問題も主要議題のひとつです。

 サミット関連として5月末に横浜で開かれた国際会議のため来日した世界的ロック歌手、ボノさんは、「悲惨でかわいそうというアフリカ観を変え、現地で活躍する日本人の姿を伝えてほしい」と日本のメディアに呼びかけました。

 アフリカの貧困撲滅に取り組んでいる彼のメッセージに、かつて南アフリカで取材した根本昭雄神父を思いだしました。

 神父は、ホスピス(終末期ケアを行う施設)でエイズ患者の世話をしてきました。アフリカのエイズの根底にあるのは差別と貧困。黒人は教育や就労の機会を得られず、セックスにおぼれます。感染後は満足な医療も受けられません。この悪循環で南アの感染者は推定550万人と世界最多国のひとつに数えられます。

 ホスピスでは毎日のように患者が亡くなります。神父は常に患者とのスキンシップを大切にしてきました。「一度も一緒に風呂に入ってくれなかった」。日本で世話をしたハンセン病患者の一言にショックを受け、悔い改めで南ア行きを決意したからです。

 そんな神父がこのほど結核で亡くなりました。享年76。アフリカで活躍した日本人を再び紹介できず残念です。「説法だけでは苦しみをともにできない」。神父の言葉が今も耳に残ります。(さ)

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