記事登録
2008年06月26日(木) 08時00分

【Re:社会部】「遠くの事件」に違和感産経新聞

 東京・秋葉原の無差別殺傷事件で、加藤智大容疑者(25)が勤務していた関東自動車工業を取材し、同社の事件に対する「心情的な距離」を感じました。

 事件翌日の9日に開かれた記者会見。加藤容疑者が事件3日前に無断退社した様子について、同社幹部は最初、「分からない」としましたが、会見後半で突然、「ツナギがないと騒いでいた」と説明を変えました。この幹部は憮然と「(退社の経緯は)重要ではないと思っています」と弁明しました。会見前には、広報担当者が笑顔を振りまきながら対応し、報道陣から「笑い事じゃない」と怒声が上がる一幕もありました。

 同社は会見で被害者に「哀悼の意」を表しています。加藤容疑者は派遣社員で、同社が直接、雇用した社員ではありません。会見は「ツナギがなく、やけを起こした」という供述が明らかになる前でもありました。それにしても、工場から怒って帰った人間が17人も死傷させたのですから「もう少し『我が事』という感じがあってもいいのでは」と違和感を覚えました。

 「好き嫌いとか関係なく、車の生産台数が減れば、まず派遣社員が切られる」と同社社員は言います。同社が事件や被害者から意識が遠いように感じたのは、そもそも事件を起こした派遣社員に対し、身内意識を持ちにくいからなのかも知れません。(宝)

【関連記事】
「加藤容疑者はバカ。金持ち多い銀座狙え」 犯行予告の和光市職員逮捕
「あきばのじけんたのしそう」埼玉の高校に脅迫文2通
今度は「原爆ドームを爆破します」 宮崎の18歳逮捕
秋葉原通り魔事件後、17人を摘発補導 7割は定職つかず 警察庁
特集「秋葉原通り魔事件」

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080626-00000113-san-soci