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2008年06月26日(木) 08時00分

全漁連 20万隻、一斉休漁 来月15日、燃料費補填求め産経新聞

 全国漁業協同組合連合会(全漁連)は25日、16漁業団体傘下の漁船が来月15日に一斉に休漁すると発表した。燃料費高騰による漁業の窮状を訴え、燃料費の補填(ほてん)などを求めるのが目的。国内ほとんどの漁船が休漁し、輸入を除くあらゆる魚介類の水揚げがストップするため、消費者らから不安の声が上がっている。

 全漁連などによると、休漁に参加するのは、全漁連や大日本水産会(大日)などの約20万隻と推計される。一斉休漁は1日だけだが、団体や地域漁協によっては、独自の判断でさらに数日にわたって休漁することもあるという。1日で2万〜3万トンの水揚げがストップするとみられる。

 漁船の燃料となるA重油の価格は5年で2・5倍に上昇し、漁業経営を圧迫している。全漁連などでは今月初めに一斉休漁を検討し、水産庁に燃料費補填などを求めていたが、新たな支援策が打ち出されないことなどから踏み切った。

 一斉休漁の方針が伝えられると、市場関係者に「魚の価格が一時的に高騰する」と懸念が広がった。今月18、19日、全国のイカ釣り漁船が休漁した際には、東京・築地の中央卸売市場でスルメイカの価格が500円台から一時的に780円まで急騰しており、水産庁では「今回も一時的に値上げするかもしれない」と懸念している。

 大手すしチェーンでは「事前に魚を大量に仕入れており心配ないが、長期化すれば魚の価格に影響しないか不安だ」と危機感をあらわにした。

 全国消費者団体連絡会の阿南久事務局長は「1日ならば、おそらく消費者はほかの食品を買うのではないか。ただ、これを契機に魚の価格が上がれば生活への影響は大きい」と話した。

 燃料費の高騰については、現状でも102億円の支援基金があるが、直接的な燃料補填ではない。水産庁は「当面はこの基金を有効に運用するしかない。休漁についてはすでに注意も促しており、いまの段階では、どうしようもない」としている。

愛媛大南予水産研究センター 若林良和教授(水産社会学)の話 「国内の漁業問題が燃料費高騰で明らかになった。漁業が危機的状況に置かれていることを消費者に理解してもらうために、休漁は仕方のないことだと思う。危機回避に漁業者への手厚い援助が必要だ」

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