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2008年06月26日(木) 11時44分

『iPhone』が気付かせてくれたことツカサネット新聞

一つの携帯電話のモデルがテレビのニュースとして取り上げられることはiPhone以外に無かっただけに、衝撃的な日本上陸という風に感じた人が多かったかもしれない。

そのiPhone、「メール文化の日本にiPhoneのようなフルタッチパネルはなじまない、影響は限定的。」という声や、「着うた・ワンセグ・お財布ケータイ機能が無いiPhoneは日本には向いていない。」ということが言われている。

しかし一方では、iPhone上で実用系からゲームなどのエンタテイメント系まで様々なアプリを手に入れることができ、自分用にカスタマイズできる仕組みになっていて、「iTunes Store」から音楽や動画をダウンロードして楽しむことができ、従来の携帯電話とは違ったユーティリティツールとしてヒットするとも言われている。

発売日が7月11日と決まり、予想と打って変わってリーズナブルな価格帯で利用できるとあって、この夏は熾烈な携帯電話商戦が繰り広げられるかもしれない。日本を含む世界の22カ国で同時発売は、当日ニュースにも取り上げられるだろう。

さて冷静になって自分はどうするだろうと考えた時、一つの疑問を思い浮かべた。

iPhoneがでるからといって買い換えを考えることは間違っていないか?ということだ。別に今のモデルに問題がないなら、わざわざ今買い換えなくてもいいじゃないか。何を自分は悩んでいるんだ・・・?

どうしようか?買おうか買うまいか・・・こんな人は自分だけでは無いだろう。ひょっとしたらiPhoneの発売はそれが目的でなくとも、他社の機種も含めた、市場に刺激を与えるきっかけになるかもしれない。ヘタをすると(別に騙されたわけじゃないだろうが)携帯電話全体が買い替え市場を底上げするかもしれない。

次に一つの発見をした。

市場に影響しないと言う理由に上げられたサービスは、自分は利用していない。もちろんそれらの機能が必要な人もいるだろうが、自分にとって必要なのか・・?他の電話だったらどうだろうかと考えたことだ。

要するに、DoCoMoだからauだからという理由で携帯電話を選ぶことよりも「自分の携帯電話の利用方法によってサービスやモデルを選ぶ」ということ。携帯電話で何がしたいか。それらを納得のいくプライスでサービスが提供されているキャリアとモデルを選ぶ時代なんだと感じる。

その感覚が正しいのだろうと思う一つの理由として、iPhoneのビジネスモデルがある。

従来携帯市場は、「通信サービス」「端末・ソフトや機能」「ネットサービス」「コンテンツ」の4つに業種に大別され、それぞれの業種ごとにビジネスを成立させている。

iPhoneは、ご存知のとおりアップルというPC会社が端末を作っている。そしてアップルのiTunesで販売されている音楽や動画コンテンツをiPhoneで楽しむことができる。また、アップル独自のOSの基でソフトウェアを外部に開発してもらい、それらをAppleStoreでユーザーが自分に必要なアプリを購入するというシステムになっている。4つの業種のうち3つに関与し端末を販売しようとしているのだ。

しかも実質端末を販売する通信会社は、販売補助金というかたちで、iPhone(アップル)に差額を支払うことになっている。

結局iPhoneが4つの業種全てに関与し決定権を掌握している形といえるだろう。斬新なデザインと使用感で今までと違った携帯電話のスタイルを提案したiPhoneが売れれば売れるほど、携帯市場はこの新たなジャンル(ビジネススタイル)との競争ということになる。

今後一つの端末を作るにあたって、デザイン・サービス・コンテンツが一体となってグランドデザインを描きユーザーにライフスタイルとして携帯電話を提案することになるのかもしれない。携帯端末がライフスタイルに応じた嗜好性をプレゼンテーションし、それに共感するもしくは自分にフィットする人たちがそれを提供するキャリアやモデル(携帯端末)を求めるというかたちだ。

それがいいのか悪いのか・・・?自由度が増すという面では良いことだろう。激しい競争は必要以上の淘汰を起こすかもしれない。それは悪い面だろう。しかしiPhoneが携帯電話のあり方について新しい時代を切り開いたということは間違いないのではないだろうか。



■参考サイト
ソフトバンクモバイル

アップル iPhone



※ソフトバンクモバイルのサイトでiPhoneバナーをクリックするとアップルのiPhoneサイトに移動します。iPhoneのデモはソフトバンクモバイルでは行えないという制限があるようです。


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(記者:竹山壽)

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