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2008年06月25日(水) 14時21分

「グッドウィル」廃業方針、日雇い派遣から完全撤退読売新聞

 グッドウィル・グループは25日、子会社で日雇い派遣最大手の「グッドウィル」(東京都港区)を廃業する方針を固めた。

 近く手続きに入り、日雇い派遣事業から完全に撤退する。禁止されている二重派遣を手助けしたなどとして幹部らが逮捕された職業安定法違反事件で、同社は24日に東京簡裁から罰金の略式命令を受けた。有罪が確定すれば、厚生労働省は労働者派遣事業の許可を取り消す方針で、同グループは事業の継続が難しいと判断。午後にも発表する見通しだ。

 グッドウィルによる職業安定法違反事件を巡っては、東京地検が24日、同社と同社事業戦略課長(37)ら3人を職業安定法違反(労働者供給事業の禁止)ほう助と労働者派遣法違反の罪で東京簡裁に略式起訴し、同社と3人は罰金100万〜50万円の略式命令を受け、それぞれ納付した。命令に不服がある場合、2週間以内であれば正式裁判を請求できるが、請求がなければ有罪が確定する。

 労働者派遣法では、業者が労働法令に違反するなどして有罪が確定した場合、派遣事業者としての免許取り消しの対象になると定めている。グッドウィルは1日に約3万人を派遣した実績もあるが、違法派遣を繰り返していたとして事業停止処分を受けた影響で、現在は1日7000人程度に激減している。同社は、派遣の登録者の引受先をこれから探すと見られる。

 グッドウィル・グループには、今回廃業する主力のグッドウィルのほか、技術者を製造業に派遣する事業を行っている「シーテック」などの子会社がある。技術者の派遣は収益性が高いことから、グッドウィル・グループは5月に発表した新たな経営方針の中で、日雇い事業は縮小する一方、技術者の派遣事業は強化する方針を打ち出していた。舛添厚労相は今月13日、労働者派遣法を改正し、日雇い派遣を原則禁止する方針を表明しており、業界の大幅な縮小は避けられない見通しだ。

 起訴状などによると、グッドウィルによる職安法違反事件は、同社の事業戦略課長らが2006年5月〜07年6月、グッドウィルから港湾関連会社「東和リース」(港区)に派遣した労働者が港湾運送会社2社に二重派遣されることを知りながら、延べ51人を派遣したもの。05年5〜6月には、東和リースに派遣した延べ54人に対し、業務内容や就業条件を明示しなかった。

http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20080625-OYT1T00342.htm