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2008年06月25日(水) 12時52分

ウナギ偽装 架空会社名で、中国産「愛知」 マルハ子会社毎日新聞

 中国産ウナギのかば焼きを愛知県の一色産ウナギと偽装表示して販売したとして、農林水産省は25日、ウナギの輸入販売会社「魚秀(うおひで)」(大阪市中央区、中谷彰宏社長)とマルハニチロホールディングスの子会社で卸売業者「神港魚類」(神戸市兵庫区、大堀隆社長)に対し、JAS(日本農林規格)法違反で改善指示を出した。魚秀は架空の製造会社のラベルを張って販売し、架空会社名の産地証明も発行。神港魚類も偽装を知りながら販売していた。農水省は「極めて悪質」としている。徳島県警は25日午後にも、不正競争防止法違反の疑いもあるとみて、魚秀の中谷社長から事情を聴く。

 農水省によると、魚秀の徳島営業所は今年3〜4月、在庫として残っていた中国産うなぎのかば焼きを販売するため、256トン(約204万匹)について、パックの産地欄に「愛知県三河一色産」、製造者に架空の販売会社「(有)一色フード」と偽装表示して神港魚類に出荷した。在庫が796トンに達したため、一掃を狙ったという。

 神港魚類は3〜6月、49トン(約39万匹)を卸売業者などに販売したが、うち約4トンは5月末に偽装を知らされた後だった。一部が大阪府や兵庫県、福岡県などのスーパーで売られていた。偽装を知らされた際、魚秀側から「結果的におたくもグル。販売を続けろ」と脅されたという。

 魚秀は神港魚類に販売する際、農水省などに偽装を知られないよう流通ルートも意図的に複雑にしていた。伝票上は架空会社が東京都内の商社2社を通して神港魚類に販売したことになっていた。実際には魚秀が神港魚類に直接販売していた。

 農水省によると、1キロあたりのウナギの値段は中国産が1800〜1900円、国産が4000〜5000円。【奥山智己】

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 愛知県一色町ではウナギが年間約6000トン生産され、市町村別では生産量日本一。一色産ウナギに絡む偽装販売では、静岡市の輸入加工販売「東海澱粉」の三河営業所(一色町)などが中国などからの輸入ウナギを国産と偽装して約1300トンを販売し、鹿児島県警が今年5月に不正競争防止法違反容疑で元課長らを逮捕した。今月には、さいたま市の商社がウナギ72トンを一色産と偽装して販売したことも発覚している。

 マルハニチロの話 関係者、消費者に心配をかけ、おわび申し上げる。グループ企業の法令順守の観点から指導、監督に努めていく。

 神港魚類の話 長年の取引先(魚秀)を信用し確認を怠ったことが最大の原因であり、大変遺憾ながら表示義務違反の商品販売を続ける結果になった。お客様に多大な迷惑、心配をかけたことをおわびする。指示を真摯(しんし)に受け止め、再発防止に務める。

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