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2008年06月24日(火) 19時00分

NOVA元社長・猿橋容疑者ら2人を逮捕、業務上横領容疑読売新聞

 経営破たんした英会話学校「NOVA」(破産手続き中)の社員積立金が無断流用された事件で、大阪府警捜査2課は24日、NOVA元社長・猿橋望(さはしのぞむ)(56)(大阪市天王寺区)と、元同社次長で関連会社「ノヴァ企画」元社長・村田利彦(49)(奈良市)両容疑者を業務上横領容疑で逮捕した。

 当時、中途解約した受講生への授業料返還に追われていた猿橋容疑者が「支払わないと、信用不安が一気に広がる」と周囲に話していたことも判明。府警は、猿橋容疑者が経営へのダメージを恐れ、流用を主導したとみている。

 発表などによると、NOVAグループ社員の互助組織「社友会」会長だった猿橋容疑者は村田容疑者と共謀、昨年7月20日、経理担当者に指示して、同会の積立金約3億2000万円を、ノヴァ企画の口座に振り込ませ、横領した疑い。

 調べに対し、猿橋容疑者は容疑を一部否認、村田容疑者は認めている。

 NOVAは昨年6月、勧誘時の虚偽説明などの違法行為を理由に、国から一部業務停止命令を受け、解約する受講生が続出。NOVA関係者によると、積立金が移された当時は、解約した受講生への授業料返還金の支払い期日が目前に迫っていた。

 支払い延期も検討されたが、NOVAの経営破たんへの懸念が高まっており、猿橋容疑者は「返還に応じないと、経営は大丈夫かという信用不安が拡大する」などと周囲に説明、流用を指示したという。

 ノヴァ企画の口座に移された金は、この口座にあった4000万円と合わせて、その日のうちにNOVAの口座に送金され、5億円前後にのぼっていた返還金などに充てられたという。

 ノヴァ企画はNOVAの前身となった有限会社で、猿橋容疑者が実質オーナー。当時、NOVA株式の3割強を保有するなど密接な関係にあった。府警は、流用について猿橋容疑者に経営責任の追及を逃れる意図がなかったか調べるとともに、個人流用の有無についても追及する。

 ◆被害者弁護団、損害賠償訴訟を準備◆「NOVA被害対策大阪弁護団」は、元受講生ら約25人が原告となり、猿橋容疑者らを相手に損害賠償請求訴訟を起こす準備を進めている。

 担当の弁護士は「捜査が進み、経営実態が明らかになれば、訴訟にも役立つはず。被害回復は難しい状況だが、多くの受講生を巻き込んだ責任をはっきりさせたい」と語った。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080624-00000035-yom-soci