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2008年06月24日(火) 16時10分

外国人講師ら救済進まず 引き継ぎジー社、全国に286校展開 産経新聞

 英会話学校最大手NOVAの30万人とされた受講生や約4000人いた外国人講師らの救済は、経営破綻(はたん)から約8カ月がたった今も十分に進んでいない。

 事業を引き継いだ名古屋市のジー・コミュニケーショングループは当初の計画を上回り、5月末時点で英会話が受講できる教室を全国に286校展開。しかし、新NOVAに移ったのは約5万7000人にとどまっている。

 2つの業界団体の加盟社を中心とする計55社は入会金無料などの優遇措置を設け、計約1万8800人の受け入れを表明。しかし実際の受け入れは約1万人で、優遇措置の多くは期限切れ。新NOVAに移った人を合わせても、全体の2割程度にすぎない。

 一方、外国人講師についてジー社は「希望者は原則、新規雇用する」との方針を示し、約1400人を再雇用。しかし、昨年末には再雇用の打ち切りと雇用予定だった約600人を雇えなくなったと発表し、約400人が今年3月末までに退職した。

 ジー社の英会話事業の従業員は、5月末時点で日本人を含め約1100人。講師の再雇用の現状はよく分かっていない。

 外国人講師らが加入する労働組合の申し立てを受け、ジー社は離職者全員の再雇用に向けて募集を始めたばかり。労組幹部は「帰国している講師も多く、何人集まるかは未知数」としている。

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 ≪問題の再検証を≫

 最高裁で勝訴が確定したNOVA受講料返還訴訟で、代理人を務めた杉浦幸彦弁護士の話 「NOVAは上場企業でありながら、最高裁判決が出るまで(情報の)適時開示をほとんど行わず、敗訴が確定してからも『経営に与える影響は軽微』と言い切っていた。当時の受講生は『上場企業だから』と安心して受講料を前払いしたのに、経産省の一部業務停止命令を受け、あっけなく破綻(はたん)した。そうしたことを許した証券取引上の問題点はいまだに検証されず、破産から時間がたって受講生も雲散霧消してしまっているのが現状だ。今回の業務上横領事件は30万人の元受講生に直接、関係するものではないが、破綻までの会計監査が適切だったのかも踏まえ、NOVA問題を再検証する契機とすべきだ」

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 ≪元社長の責任明確に≫

 『NOVA商法の魔力』の著書があるノンフィクション作家、久慈力さんの話 「資金繰りに窮し、簡単に融通できる社員の積立金に手をつけたとすれば、まったく筋違いの話。社員のものは社員のもの。猿橋元社長はまず自らの資産を取り崩すべきではなかったか。元社長が最も迷惑をかけたのは当時の受講生だが、まだ何の賠償もなされていない。今後の捜査で元社長の経営手法を解明し、責任を明確にしてほしい」

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