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2008年06月24日(火) 12時55分

NOVA 猿橋元社長を事情聴取 業務上横領容疑で逮捕へ毎日新聞

 経営破綻(はたん)した英会話学校最大手「NOVA」(大阪市、破産手続き中)の社員互助組織の積立金約3億2000万円が流用された疑惑で、大阪府警捜査2課は24日朝、猿橋望・元社長(56)に任意同行を求め、業務上横領容疑で取り調べを始めた。猿橋元社長が流用を指示していたとみており、容疑が固まり次第、逮捕する。30万人もの受講生という戦後最大級の被害者を生んだ会社破綻は刑事事件に発展した。

 猿橋元社長を巡っては、テレビ電話による在宅学習「お茶の間留学」でも多額の資金が動いており、府警は特別背任容疑を視野に、この金の流れについても調べを進める。

 調べなどによると、猿橋元社長は07年7月下旬、経理担当社員に指示し、自らが代表を務める社員の互助組織「社友会」の口座に積み立てられた約3億2000万円を社員らに無断で流用。元社長がオーナーを務めた関連会社「ノヴァ企画」を経由し、NOVAの口座に振り込ませ、横領した疑いが持たれている。金は解約した受講生への返還金などに流れたとみられる。

 NOVA元社員らによると、社友会の金は慶弔費などの福利厚生目的。社員の給与から、役職などによって1000〜3000円程度が天引きされ、積み立てられていた。実際の支出は少なかったという。

 一方、お茶の間留学は、電話回線を利用して自宅のテレビで英会話授業が受けられるシステム。猿橋元社長がオーナーだった通信会社「ギンガネット」が通信用サーバーを開発し、NOVAに貸していた。関係者によると、サーバーの台数が03年度は20台だったのに、04年4月〜05年9月(18カ月)は26台に増加。府警は、猿橋元社長が将来性を見いだしていたギンガ社の利益を図る目的で余計にサーバーを増やし、NOVAに使用料として約2億9000万円を払わせたとみて、会社法の特別背任容疑にあたるかどうか慎重に経緯を調べる。

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 猿橋元社長は24日、代理人弁護士を通じて、「業務上横領の事実関係は間違いない。ただ、一円たりとも私的に流用したことはなく、会社のために使ったことだ」などとするコメントを出した。【田辺一城、山口朋辰】

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