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2008年06月24日(火) 12時13分

<NOVA>猿橋元社長「逮捕仕方ない」毎日新聞

 経営破綻(はたん)した英会話学校最大手「NOVA」(大阪市、破産手続き中)の社員互助組織の積立金約3億2000万円が流用された疑惑。一代で業界最大手の英会話学校を築きあげた「カリスマ」の経営実態について、ついに捜査のメスが入った。英会話学校最大手「NOVA」(大阪市)の猿橋望・元社長(56)は24日、真っすぐに前を見つめたまま大阪府警の本部庁舎に。「逮捕も仕方ない」。最近は、周辺にこうもらしていたという。昨年10月の経営破綻から約8カ月。約30万人もの受講生に前払い金は戻らず、多くの外国人講師は職を失った。「謝罪を」「全容解明を」。改めて憤りの声が聞かれた。

 猿橋望元社長は24日午前9時前、大阪府警本部に入った。運転席の後部に猿橋元社長を乗せた乗用車は、早いスピードで、本部庁舎内へ。茶色っぽいレンズの眼鏡をかけ、濃紺のスーツと白いワイシャツ姿。赤いネクタイを締めた元社長は、やや伏し目がちながら正面を向いて一点を見つめた。口は真一文字。ほぼ無表情だった。

 代理人弁護士によると、猿橋元社長は5月末に出頭の決意を固めていた。前日の23日も特に変わった様子はなかったという。

 猿橋元社長は07年10月の経営破綻後、「サンデー毎日」など一部メディアの取材に応じて以降、行方をくらませた。東京、大阪のホテルを転々とし、代理人弁護士らわずかな関係者と連絡を取るのみだった。今回の業務上横領疑惑については「これで逮捕されるのなら」と観念した様子だったといい、身辺整理や保釈保証金の準備を進めていた。

 一方で、受講生や外国人講師に「顔向け出来ない」と罪悪感も口にしていたという。自身がオーナーだった通信会社「ギンガネット」の開発したテレビ電話による「お茶の間留学」システムに未来を託していただけに、事業譲渡でうまく機能するか心配もしていた。

 受講生や講師の間には怒りの声が広がった。前払い受講料約80万円分を抱える奈良県橿原市の森田和利さん(38)は現在、大阪市内の新NOVA教室に通っている。「猿橋元社長には、とにかく謝罪してほしい。警察は猿橋元社長の経営実態を明らかにして、破綻の真相を追及してほしい」と話す。

 また、米国人の元男性講師は現在、独自の語学教室を開いている。「猿橋元社長の逮捕よりも、元講師が日本でどう生きていくかが重要だ。今さら元社長の責任を追及しても、破綻したことは変わらない」と講師仲間の生活を心配した。【田辺一城、山口朋辰、堀江拓哉、渋江千春】

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