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2008年06月24日(火) 10時33分

【NOVA元社長取り調べ】「なぜ暴走許した」怒り収まらぬ受講生産経新聞

 NOVAの元受講生約30万人は破綻(はたん)時、総額約564億円を受講料として前払いしながら、1円も払い戻しが受けられない状況だ。猿橋元社長に対する刑事責任の追及が始まったが、受講料の返還につながるかどうかは不透明。「一番の被害者は生徒」「なぜ周りが暴走を止められなかったのか」。突然の経営破綻(はたん)から8カ月余りが経過したが、元受講生の怒りは収まっていない。

 破産管財人が今月上旬に公開した破産状況報告書によると、債権者に支払うことができる資産は30億円足らず。一方、滞納していた税金は約25億円、従業員への未払い賃金・退職金は約60億円にのぼっている。

 税金や賃金は、受講料など一般債権に優先して支払われるため、報告書は元受講生への払い戻しについて「配当は極めて困難」と言及。元受講生への救済措置は、事業譲渡先の「ジー・コミュニケーショングループ」(本部・名古屋市)で、受講料割引の優遇措置を受ける以外にないという。

 「いつでも解約できる」と勧誘され、受講料40万円を前払いした兵庫県西宮市の会社員の男性(32)は「いくらワンマンとはいえ、身近に役員もいたはず。なぜ暴走をだれも止められなかったのか」と憤る。

 社員の互助組織の積立金を返還金に流用したとされる業務上横領容疑については「資金繰りに行き詰まっていたのは知っていたが…。あきれ果てた」と話したうえで、「もう、どこの英会話学校にも行く気がしない」と吐き捨てた。

 奈良市の会社員、井筒有希子さん(35)は昨年3月、NOVAとの契約を延長したばかり。自身と長男(5)の受講料として、計200万円近くを前払いしてしまった。「社員の立場なら横領が許せないのは分かるが、一番の被害者は生徒」と強調する。

 現在はジー・コミュニケーションの教室に通っているが、「元社長に資産があるなら、ジー社に提供してほしい」と真剣な思いを語った。

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