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2008年06月22日(日) 17時06分

「配送所への侵入は事前に知らなかった」──グリーンピース・星川事務局長オーマイニュース

 警視庁と青森県警が環境保護団体「グリーンピース・ジャパン(GPJ)」のメンバー2人を窃盗と建造物侵入の容疑で逮捕した20日、GPJの星川淳事務局長が家宅捜索が続く新宿区西新宿8丁目の本部事務所前で会見。GPJの声明を発表後、囲みの記者達と質疑応答を行った。その主な内容を以下に紹介する。なお、カッコ内は記者による追記、但し書きのない回答は全て星川事務局長。GPJが告発した横領疑惑は会見後に不起訴処分が決定した。

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———(声明内で逮捕前日、佐藤容疑者が新情報を検察に伝えていたとの談あり)検察に提供した新情報とは?

 検察事項で答え難いが、新情報も届いており、その中で検察が取り上げるに値すると判断した場合は伝えている。告発状を受理後、協力を要請されており、これまでも追加情報入手時は逐次検察官に提供してきた。

———情報は鯨肉横領疑惑の件か?

 今回、日本鯨類研究所、共同船舶、農林水産省は問題全体を『お土産』という形で乗り切ろうとしているが、下船時に冷凍生肉を渡す『お土産』と、今回のような作業関係者が船上の解体現場から、船室で予め用意した塩で塩漬けし、帰港時に自宅などに常温で送るのは『お土産』とは違う、闇といっていいルートだ。

———鈴木容疑者のGPJ内の立場は?

 「アクション」という非暴力直接行動の調査をするコンサルタント。フルタイムスタッフではないが、GPJメンバーで契約もしている。

———IWC総会時期の逮捕について考えは?

 随分間の悪い逮捕ではないか。日本の調査捕鯨は国際条約の抜け穴を利用した商業捕鯨であるとほとんど常識化しており、新たに横領疑惑が加わりIWCで注目される事態は日本政府にとって必ずしもプラスではないと想像する。私自身不審に思ったのは、先週不起訴情報が流れ、弁護士を通じて検察に尋ねたが「そんなことはない。捜査を続けていく」と。穿った見方をすると、誤報でも構わないから流し、その流れでグリーンピースにダメージを与えるということかもしれない。

———告発レポートで乗組員が数キロの鯨肉を『お土産』でもらっているとあるが、GPJが2か月前に盗った鯨肉はこれでは?

 それは違うルートだと聞いている。

———告発レポートでは乗組員約120人が各々200〜300kgの鯨肉を横領しているとあり、試算では計約30トンになる。2か月前にGPJが確認した荷物は47箱のみで少ないが……

 多い年はそれくらいと情報提供者が言っていた。ただ、今年は(調査捕鯨の)目標頭数に達しなかったので少なかったと考えている。

———盗んだ施設は相当セキュリティーがきつく、なかなか入れないところ。具体的にはどのようなルートで入ったのか?

 配送所は非常にオープンで、荷物を発送する人達も自由に出入りしており、セキュリティーが高いところに無理やり入り込んだのではないと聞いている。

———(侵入前に)相当準備したのか?

 準備していないと思う。西濃(運輸)の方と話をしながら、住所の札を見て、あるいは積極的に見せて頂いたと聞いている。

———それは身分を名乗ったうえでか?

 そうではなかったと思う。多分雑談しながら。名札を揃えてこういう感じですとやり取りがあったと聞いている。

———横領疑惑は乗組員個人によるものか、共同船舶によるものか?

 そこはちょっと微妙なところ。我々は今までの調査と聞き取りからかなり組織性があると考えているが、最終的には地検が捜査をした結果、どのように見るかだと思う。

———横領疑惑の鯨肉は鯨類研究所が把握していないモノということか?

 情報提供者の話からはそう聞き取れる。

———逮捕された2人の認否は? (日隅弁護士)

 外形的事実は認めることになると思う。

———今回の配送所侵入は、当人以外にGPJでは事前に知っていたのか?

 知らないと思う。私も知らなかった。「中身を確認して返すつもりだったが、証拠物の迫力は大きく、これが目に触れることが日本で固定化した調査捕鯨を正すために必要と判断した」と本人達は述べている。

(記者:村上 和巳)

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