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2008年06月22日(日) 15時06分

NOVA元社長近く聴取 社員積立金3億円超流用か産経新聞

 破産手続き中の英会話学校「NOVA」(大阪市)の猿橋望・元社長(56)が昨年7月、社員の互助組織の積立金約3億円を受講生への返還金に流用した疑いが強まり、大阪府警捜査2課は、業務上横領容疑で猿橋元社長を近く強制捜査する方針を固めた。
 積立金は社員の福利厚生が目的だったにも関わらず、社員側に無断で流用されていた。
 英会話学校最大手の経営破綻は、カリスマ的存在の創業者の刑事事件に発展する見通しになった。
 調べや関係者によると、猿橋元社長は昨年7月、NOVAの社員でつくる互助組織「社友会」の積立金約3億2000万円について、関連会社「ノヴァ企画」の役員を通じ、NOVAの口座に移し替えるようNOVAの経理担当者に指示。
 解約した受講生への返還金に流用した疑いが持たれている。
 代理人弁護士らによると、積立金は同月20日にノヴァ企画に送金。ノヴァ企画の4000万円とともに、同日中にNOVAの口座に移された。
 NOVAの口座に元々あった3億6000万円を合わせた7億2000万円のうち、6億7500万円が返還金に充てられたという。
 NOVAはこの1カ月前、経済産業省から誇大広告や勧誘時の虚偽説明などで一部業務停止命令を受けたため、解約を申し出る受講生が続出。資金繰りが一気に悪化していた。
 社友会費は給与から月2000円前後が天引きされ、社員旅行や社員の慶弔費に支出するため積み立てられていた。
 通帳は経理担当者が管理し、引き出すには猿橋元社長の許可が必要だった。
 しかし府警は、猿橋元社長は単に保管・管理していただけで、本来の目的とは違う返還金への無断流用は業務上横領に当たると判断した。
 社友会にはほとんどの日本人社員が入会しており、昨年3月時点の会員は約2000人。
 NOVA社員の平均勤続年数は3年半程度で入れ替わりが激しく、実際に慶弔金などを受け取った社員は少なかった。このため、社友会費の残高は増え続けていたという。
 猿橋元社長の代理人弁護士は「積立金を猿橋元社長が管理していたのは事実で、知らないとはいえない。ただ、積立金は会社の資金と考えており、流用したとしても問題ないのではないか。私的流用は一切ない」と話している。

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