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2008年06月21日(土) 12時41分

徹夜団交 早朝の大阪府庁に怒号響く産経新聞

 「削減したくて削減しているわけじゃない」。20日夜から、橋下徹知事が出席して始まった府労働組合連合会(府労連)と府関連労働組合連合会(府労組連)との団体交渉で、知事は職員の人件費削減が苦渋の決断だったことを強調し、労組側に理解を求めた。しかし、労組側からは「このままでは職員は気力を失う」などと反発の声が相次ぎ、怒声が飛び交う場面も。半日以上に及ぶ2労組とのロングラン交渉はいずれも決裂し、出席した職員は疲労の色を隠せなかった。
 「府労連58年の歴史の中で初めて交渉が決裂した。残念」。空が明るくなり始めた21日午前5時10分ごろ、府労連の新居晴幸執行委員長は約7時間にわたる交渉を終え、唇をかんだ。
 橋下知事と府労連との交渉は終始平行線をたどった。府労連側が強硬に人件費削減案撤回を求めたのに対し、橋下知事は「削減したくて削減しているわけじゃない。財源がないと何もしようがない」と繰り返し、懇願するように訴えた。
 参加した組合員からは時折、「ふざけるな」「まじめにやれ」などとヤジが飛んだ。これに対し、橋下知事が「そんな言い方を労使交渉でしていいのか」と気色ばむ場面も。新居委員長は「あなたがコメンテーターのように話し、誠実に対応しないからだ」と応じた。
 また、新居委員長が過去にも人件費抑制策に協力してきたことを主張すると、橋下知事は「このように財政が危機的な状況になっているのは、(取り組みが)足りなかったから。財政再建団体になってもいいのか」と冷ややかに反論。新居委員長は「論理のすり替えだ」と語気を強めた。
 一方、この日午前6時20分から始まった府労組連との交渉では、府労組連側が学校の非常勤職員らの配置見直しなどを中心に人件費削減案の撤回を主張。橋下知事が「(非常勤職員の削減が)教育上の損失となるのは分かるが、財政再建を果たさない方が損失。優先順位をつけた」と強気な口調で繰り返すと、組合員から「(知事が構想を掲げる)イルミネーションより非常勤職員の生活の方が下ということか」などと反発の声があがった。
 府労組連との交渉が決裂に終わったのは午前10時半すぎ。計約12時間の長い交渉を終えた橋下知事の顔には、うっすらと無精ヒゲも。知事は「(組合側が)受け入れられないのは当然だと思う。職員の生活がかかっていることを考えると(12時間は)短い」と述べた。案を一部修正したことについては「すべてを拒否するわけにもいかないので、予算のフレームを崩さない範囲で要求に応じた」と語った。

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