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2008年06月19日(木) 12時16分

現地妻もつ台湾人、本土中国との関係急回復で窮地にオーマイニュース

 外電(「朝鮮日報」電子版、6月16日)で知ったのだが、台湾で馬英九総統が5月に誕生してから、台湾と中華人民共和国の関係は急速に進展している。その関係は、7月4日、歴史的な転換点を迎えるようである。

 台湾と本土中国との間で、直行チャーター航空便が就航するという。分断から59年。報道によれば、中国の5都市と台湾の8都市間が結ばれる。合弁企業などとの経済関係で、ほとんど「中国化」した台湾がお目見えし、一般国民レベルでも「中国化」が急進展する契機になるかもしれない。

 台湾の状況はよく知らないが、中国の経済自由化と香港返還後、実証された「1国2制度」政策を見ていると、遅かれ早かれ、「台湾」の民意が変わるのではないか。アメリカや日本などの思惑とは別に、台湾独立派から1国2制度派が多数派になる可能性を否定できない。

 さて、そのようなお堅い話はともかく、この「直航チャーター航空便」が就航することで「迷惑」する人々がいるらしい。それは誰? と記者も興味を抱いた次第である。

 「朝鮮日報」電子版の記事に、「現地妻」という表現を見つけ、寸時に納得した。台湾に限らず、日本人、その他(た)の外国人にも、海外出張が長くなると、どうしても(?)、“現地妻へのニーズ”を否定できない人種がいることだろう。

 日本にだって外国人の「現地妻」はワンサカいたし、今もいる。古くはオペラにまでなった「蝶々夫人」、世界史に残る有能なソ連のスパイ、リヒアルト・ゾルゲの「現地妻」となった石井花子さん、そして今でも多くの「大和なでしこ」が「現地妻」を演じている。

 これほどの「大恋愛」にはならないレベルの「現地妻」を持つ人々は、何とか「秘密」がバレナイように涙ぐましい努力をしているのだろうが、奥さん方の「嗅覚(きゅうかく)」は鋭い。見破れていると覚悟しておいた方が良い。

 それはさておき、なぜ、台湾人が中国に「現地妻」を抱えていると悲劇になってしまうのだろうか。それは、つい最近まで、中国人が台湾に渡航することは両国関係の複雑さから無理だったからである。したがって、台湾人は安心して、動きの取れない「現地妻」を持つことができた。

 ところが、である。「直行チャーター航空便」が就航し、中国本土も実質的な「台湾併合」を目指し、どんどん観光客を送り込んでくる方針というのだから、「あなたの国に行ってみたい」と言い出す「現地妻」が出てくるだろうことは想像に難くない。

 本当に頭を抱えているかどうかは知らないが、「心穏やかならず」の可能性は分からないでもない。しかし、外電に書かれていたように「縁切りを急いでいる」と言うなら、それは「男を下げる」所業と言わざるをえない。

 堂々としていれば良いではないか。いや、そうもいかない事情があることは、外電の最後の行を読んでうなずいた。

 何と、どこかのクラブの名前かと誤解してしまう「本妻クラブ」なる団体が台湾にはあり、本妻の権利を主張しているのだそうだ。

 まさに、台湾人男性の発展家ぶりを映し出す社会事情があるのだと納得した。

 頑張れ、「本妻クラブ」!

(記者:石井 紘)

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