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2008年06月19日(木) 12時11分

札幌に地下鉄環状線を作ろう!(前編)オーマイニュース

 札幌の将来像が見えない。人口や市民の年齢構成はどうなるのか? どんな街作りを描いているのか? この記事では、札幌に地下鉄環状線を建設するというプランを基に、札幌の将来像を探ってみたい。

■市長は札幌の将来の姿を提示すべし

 私が住む国内最北の政令指定都市である札幌。現在の人口は約189万人である。札幌もほかの地域同様に少しずつ高齢化が進んでいる。札幌の10年後、 20年後、50年後、100年後……。一体どんな都市になっているのか? あまり想像がつかない。札幌市はどんなグランドデザインをしているのだろうか。

 新幹線の函館までの建設が決まり、すでに着工されている。遅かれ早かれ札幌までの延伸も決まるだろうと思う。最短で10数年後には札幌まで開通すると見る専門家も多いと聞く。

 新幹線は札幌まで開通しないと経済的(特に観光面)に恩恵が少ないだろうから、ここまで来たら延伸してもらいたい。そこで、新幹線の札幌延伸を前提に、札幌の交通体系について考えてみたい。

 札幌には現在、市営地下鉄が3線(南北線、東西線、東豊線)、路面電車が1線(市電)、そしてJRの各線(函館本線、学園都市線、千歳線)がある。しかし、これらの利便性や互換性を考えると首都以北最大の都市の交通体系としては明らかに不合格だと記者は思う。そこで、街作りにも影響を及ぼす話になるが、今回、著者が長年提唱している「地下鉄環状線構想」について触れてみたい。

■実現したい地下鉄環状線構想

 既存の地下鉄だけでの移動を考えると、現状では大変不便がある。例えば、東豊線の栄町駅から南北線の麻生駅に行く場合、地下鉄を利用すると、札幌駅乗り換えで終点の麻生駅に向かうことになる。また、麻生駅から東西線琴似駅に行く場合も大通駅乗り換えで琴似駅に向かうことになる。近いのに遠いのである。このような不便さをどの区域の住民も感じているはずだ。

 JRやバスを使えばいいという考え方もあるだろうが、地下鉄とJRの互換性はまったくないような状態であり、バスも収益を考えた経路がほとんどであり、いまいち使い勝手が悪い。

 実際に地下鉄環状線があればどれだけ便利になるかと考えたことのある読者もいるのではないだろうか。

 図Aは、既存の地下鉄、市電、JRの各線に環状線構想を合わせたもので著者がCGで制作したものである。どんなイメージを持てるか? 東京の山手線のイメージである。この構想で行くと環状線は東西線、南北線、東豊線の主要な駅と接続することが可能で、さらにはJRの一部駅との互換性も備えることになる。

■環状線は冬対策、環境対策にもなる

 札幌では冬場でも交通量が減らない。悪天候、雪道を考えて車の使用を控えたいところであるが、公共交通機関が不便なため、やむなく車を使っているという人は大変多いと思う。しかし、環状線が新設されれば、多くの人が車から地下鉄等の利用に切り替えるのではないか? と予想する。

 通勤は当然のこと、業務中の営業なども車から地下鉄に切り替える人も出てくるだろう。バスは郊外から各駅(各駅から郊外)の路線が増え、逆に街中の路線を減らすことができる。当然、渋滞も緩和する。車の通行量が減り、渋滞が緩和されるということは大気に放出される排ガス(二酸化炭素)も減り、環境にも優しい。JR との互換性を備えれば、トラックが担っている貨物便の一部をJRや地下鉄に移管することも可能である。

 例えば、始発前に貨物便を数便走らせる、終電後に同じく貨物便を数便走らせるなどの措置で、ある程度の量を扱えるはずである。これも当然トラックの通行料が減ることにつながり、同じように排ガスも減るわけである。一部の地域の住民だけのニーズで、下手に市電に市民の血税を投入するよりも、札幌市民全員に恩恵のある環状線をぜひ実現させたい。

(後編につづく)

(記者:太刀川 洋平)

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