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2008年06月19日(木) 12時08分

『クライマーズ・ハイ』小道具製作者にインタビュー(前編)オーマイニュース

 1985年8月12日、御巣鷹山に日航機が墜落した。乗客乗員524人のうち生存者は4人。事故発生当時、地元群馬の地方紙の社会部記者として取材に携わった作家・横山秀夫氏が、自身の体験をもとに書き上げた『クライマーズ・ハイ』が映画として、7月5日に全国公開される。

 この映画に、ちょっとおしゃれな小物が登場する。主人公・悠木和雅(ゆうきかずまさ)を演じる堤真一さんら新聞記者が、ポケットベルを入れるベルト装着型の皮製ケースである。

 この皮製ケースを製作した藤井隆広(ふじいたかひろ)さんに6月13日、藤井さんのお店「TEDDY'S」にてインタビューした。

 藤井隆広さんは、青森出身の41歳。中学時代にロックにあこがれ、アメリカン・ミュージックを追いかけるうちにカントリーに行き着いたという。

 ウェスタンファッション、カウボーイやネイティブアメリカンのライフスタイルはもちろん、西部劇をはじめアメリカ映画全般、カントリー・ジャズ・ブルースなどのアメリカン・ミュージックをこよなく愛する男である。学生時代からアメリカン・ミュージックのシンガーとして活動をはじめ、約10年前に宮崎に移住した。

———お店を始めたのはいつからですか?

 約10年前の1998年7月にウェスタンショップTEDDY'Sをオープンさせ、99年3月からレザークラフトの取り扱いを始めました。

 それまでパソコンは使ったことはありませんが、インターネットからの注文も受けられるようにウェブサイトも開設しました。今回の小道具製作のお話も、ウェブサイトからいただきました。

———小道具の製作には時間がかかりましたか?

 サンプル品をいくつかつくり、当時の社会背景や試作品の使い勝手などを入念に打ち合わせして、いくつかのサンプル製作を重ねた後、完成させました。完全なオーダーメイドなので、時間はかかりました。私はまだ映画を見ていませんが、どの場面でポケットベルのケースが出てくるのかが楽しみです。

———革製品をつくる上でのこだわりはありますか?

 大量生産ではないので、すべて手づくりです。自然素材を生かしたいということで、麻の糸を使っています。革製品のあじわいを引き出すことにこだわっています。小規模のショップだからこそできることをやっています。

———これまでにすごい注文を受けたことはありますか?

 IT 企業のサイボウズさんが運営するオリジナルグッズ販売サイト「サイボウズショップ」さんからのご注文で、「ヌメ革オリジナルカードキーケース」を製作させて頂きました。また、包丁メーカーさんからは、包丁ケースとかもあります。板前さんからは、盛り箸用のケースをオーダーメイドされたこともあります。最近は、企業さんやショップさんからのノベルティー商品・オリジナルアイテムの問い合わせや製作依頼が増えてきました。
 ここならやっかいな商品を取り扱ってくれそうという感じで、オーダーメイドのご注文を引き受けているところです。

———革製品を製作する上で気を付けていることはありますか?

 過去の引き出しからアレンジしてつくり出すようにしています。革製品はどこにでもありますが、これまでに私がつくってきたことを参考にして、そこに新しさを加えるとか。最近は、iPodのケースもつくっていますが、新しいものにもフィットするように工夫を加えています。

 私はアメリカン・ミュージックにもかかわっていますが、革製品づくりも曲づくりも共通するものがありますね。革製品もアメリカン・ミュージックも私のライフスタイルです。

   ◇

 藤井さんは、いくつもの肩書を持っている。革小物職人、シンガーだけではなく、イラストレーターでもあり、ラジオのパーソナリティーも務めている。ラジオでも、「TEDDY(テディ)」という愛称で親しまれている。

 マルチな才能を発揮する藤井さんに、現在の宮崎のことについて、また、今後のことについて聞いてみた。

(後編につづく)

(記者:大谷 憲史)

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