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2008年06月19日(木) 22時21分

「過剰病床適正化を」国民会議が提言医療介護CBニュース

 政府の社会保障国民会議(座長・吉川洋東大教授)は6月19日、過剰な病床を適正化し、医療・介護ニーズの変化に対応した病院・病床に集約化する方向などを盛り込んだ中間報告をまとめた。医療分野の問題として、救急医療体制の弱体化や産科・小児科を中心とする医師不足などを列挙。社会保障の機能強化に必要な財源を国民経済全体として考えなければならないとする一方、具体的な確保策は「引き続き検討していく」と、秋の最終報告に先送りした。

【サービス提供体制の構造改革詳細】


 福田康夫首相は席上、産科・小児科の閉鎖や救急患者のたらい回しなどの問題について、「国民の生命や健康にかかわるものなので、早急に対応しなければならない」と述べ、政府として早急に対応策を検討し、全力を挙げて取り組む方針を明らかにした。
 また、吉川座長は会議終了後の記者会見で、財源について「国民会議では、ここ(中間報告)の内容を実現するには、安定財源が必要だと言っている。それをどう賄うかは次の問題だ」と述べた。

 中間報告では、日本の病院現場の実態として、▽公的病院よりも個人や医療法人が運営する民間病院が多く、病床規模も小さい ▽病床数が諸外国に比べて多い ▽急性期・回復期・慢性期といった病床の機能分担が不明確 ▽医師・看護職員の配置が国際標準から見て手薄で、病院全体のスタッフ数も少ない—など、サービス供給体制の不十分・非効率さを指摘。その上で、こうした問題を解決するには「効率化すべきものは思い切って効率化し、他方で資源を集中投入すべきものには思い切った投入を行うことが必要」とし、「サービス提供体制の構造改革」と「人的・物的資源の計画的整備」ごとに改革の方向性を示した。

 このうちサービス提供体制の構造改革の具体策として、「病院機能の効率化と高度化」など4点を列挙=表=。過剰な病床を適正化し、専門的な急性期病院などの人材配置・機器装備を拡充するなどの方向性を提言した。一方、「人的・物的資源の計画的整備」の具体策には、医療・介護分野の需要予測に基づく計画的な人材養成などを挙げている。

 また、これらの改革を実現するには医療・介護制度内部の財源配分についても見直す必要があると指摘。構造改革を着実に推進するため、報酬体系の基本骨格の在り方にまでさかのぼって検討する必要があるとの見方を示している。

■財源確保策は費用の将来推計踏まえて
 中間報告では、社会保障の機能強化のための財源について、負担に関する国民合意を速やかに形成する必要があると指摘する一方、具体的な確保策については結論を先送りした。

 同会議の分科会で今後、医療分野などの将来費用を推計する予定で、この結果を踏まえて秋の最終報告に向けて引き続き議論する。


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