2008年06月18日(水) 20時41分
まず私が、依頼人の妻を調査することにした〜市民記者が検証した「探偵の仕事」(2)(オーマイニュース)
〈
前回 のつづき〉
「探偵にだまされた」と私に相談して来た男性の主張が正しいのか、それとも探偵の言うように不貞行為は存在しない、もしくは男性の調査の妨害によりその調査が不可能になったのか──。
検証するためには、私自身が依頼者の妻の不貞について調査してみるのが一番だと思った。
私は男性の友人と言う立場であるが、実際の調査には経費がかかる。しかし2007年6月1日から施行された「探偵業の業務の適正化に関する法律」により、勝手に報酬を得て調査することはできない。
もちろん無報酬ならこの限りではないが、それにしては、余りにも大きな労力を割かなければならない。「探偵業の業務の適正化に関する法律」を読んですぐ目にとまったのが第2条第2項である。
この法律において「探偵業」とは、探偵業務を行う営業をいう。ただし、専ら、放送機関、新聞社、通信社その他の報道機関(報道(不特定かつ多数の者に対して客観的事実を事実として知らせることをいい、これに基づいて意見又は見解を述べることを含む。以下同じ。)を業として行う個人を含む。)の依頼を受けて、その報道の用に供する目的で行われるものを除く。
この第2条第2項がオーマイニュースの記者に当たるのか否かを調べてみることにした。すると大阪府警のウェブサイトに「探偵業の業務の適正化に関する法律等の解釈及び運用について」というものを発見。すると、著述家やフリージャーナリストが自らの報道や著作に使う目的の取材活動であれば、探偵業務には該当しない旨が記載されていた。
乱暴に言えば、これで私が1人の女性を尾行し付け回す根拠が私の中でできた。もちろん男性から報酬を得ることはできない。その代わり、男性も依頼者ではなく、情報提供者ないしは協力者となるため、男性の言うとおりに行動する必要がなくなる。
今回の調査の目的は、くだんの探偵が不良か否かの確認である。そうであればその手口である。
3月4日、午後7時30分。夫である男性と京都府久御山町のジャスコ駐車場で会い、次のようなことを聞いた。
──同居家族は?
「妻と2人だけ」
──なぜ浮気していると思うか?
「携帯電話は家の中では置きっぱなしであったのが、07年10月ごろから風呂の脱衣所や寝室まで持ち歩くようになった。携帯のメールを見たら『会いたい・抱きしめたい』などと書かれたメールが見つかった。問い詰めたら迷惑メールだと言い張り、メールにロックがかけられた。パソコンのメールアドレスは共有していたが、WEBメールを使うようになった」
──浮気の相手は見当がついているのか?
「月・水・金曜日に通っているテニスのインストラクターに間違いない」
──なぜそう思うのか?
「以前はテニスは午後3時から2時間程度。しかし12月ぐらいから午後7時に自宅に電話してもいないし、携帯に電話しても愛想がない」
──夫婦間の性生活はあるのか? その頻度は?
「週1度、私が求めたときだけになった」
──探偵に依頼したのはいつか?
「11月末から1月末」
──妻は週末は家にいるのか?
「ビーズ細工が好きなのでホームセンターには1人で出掛けるが、それ以外はない。ホームセンターは何回も私が尾行している」
携帯電話・メールの件とテニス教室の件から、浮気していることは間違いないのではないかと思った私。検証することにした。
〈全8回、つづく〉
(記者:湯浅 秀昭)
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