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2008年06月18日(水) 17時03分

デザイン求めて副都心線ぶらり途中下車の駅オーマイニュース

 6月14日に多くの鉄道ファンを集めて華々しく開通し、その後は運行ダイヤ乱れでもニュースが続いている副都心線。

個性的な駅のデザインをもっと見る

 記者には電車のことはまったく分からないけれど、上部に茶色のラインの入った副都心線10000系電車は、なぜかおいしそうに見えた。カラメルのかかったプリンや食パンの断面図を連想してしまう。丸みを帯びた車体もかわいい。

 けれど、記者の興味はそこにはない。副都心線開業3日目でも電車が入ってくるたびに、カメラを構える人は多かった。しかし、記者は電車にくるりと背を向けて、ベンチや軌道内側壁のデザイン画などの写真を撮りまくった。記者の興味はホームにある。

 副都心線の池袋駅から明治神宮前駅の各構内には、地域性を表現した建築デザインが施されている。駅周辺の歴史や文化を踏まえたキーワードを選定し、それによりデザインコンセプトとステーションカラーを決めているのだ。

 運行がダイヤ通りスムーズにいかない状態が続いている副都心線において、各駅をぶらり途中下車で巡るのは勇気のいることであったが、コンセプトで演出された駅を見比べてみたい。そんなマニアックな目的で、副都心線に乗り込んだ。

  ◇

 池袋駅は、池袋モンパルナスのアトリエ集団の歴史から「エネルギー×芸術の自由さ」がコンセプトだった。ステーションカラーはカンバスのイメージで白。

 次の雑司が谷駅は、鬼子母神、雑司が谷霊園の木々の緑から「木漏れ日×過去への思い出」。ステーションカラーは青竹色だ。

 西早稲田駅は、大学や神田川などから「文教×水流」。ステーションカラーは学生の若々しさと水流から水色。

 東新宿駅は、活気のある町と江戸時代に武士たちが内職でつつじを育てていたことにちなみ「アクティブ×つつじ」。ステーションカラーは薄紅色。

 新宿三丁目駅は夜のネオンと江戸四宿のひとつ内藤新宿とで「光の帯×内藤新宿」。ステーションカラーは江戸紫とも呼ばれる藤色。

 北表参道駅は、神宮の森と能楽堂から「喧騒(けんそう)からの開放×能楽」。ステーションカラーは能舞台のイメージで黄金色。

 そして明治神宮前駅は、「ファッション×杜(もり)」。ステーションカラーはシックなスモークブルー。

 デザインされた透明なベンチは、どれもアートめいていた。個人的にデザインが好みなのは雑司が谷駅。北欧雑貨のデザイン画のような感じがする。壁まで薄紅色の東新宿駅も新鮮。色彩における心理効果も望めるのかもしれない。つつじの花がちりばめられたベンチも女性に受けそうだ。

 副都心線を利用した仲間にも講評を聞いてみた。

 「駅によってステーションカラーやデザインが違うと、それだけでどの駅かが分かるから乗り過ごさなくていいかも」

 「北参道駅は黄金でキラキラしていて気分がいい。タイルを市松模様に配置していて、ゴージャス。日本ぽい」

 「パブリックアートは好みが別れるかも」(注:各駅に芸術家によるパブリックアートが設置されている)

 副都心線は、全体のコンセプトを「駅を楽しみ、地域を楽しむ駅」と定めている。また「地域文化の情報発信地」とともに「アメニティ機能の充実」を柱とし、地下の閉塞(へいそく)感を払しょくさせるような工夫やバリアフリー、ユニバーサルデザインや環境にも配慮をしている。

 ダイヤの乱れなどすぐに解決すべき課題も多い副都心線だが、今回のこうした駅づくり構想が成功だったかどうかは、もっと長いスパンで利用してみないと分からないだろう。副都心線の真の評価はこれからだ。

(記者:大鳥 かな子)

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