記事登録
2008年06月18日(水) 14時19分

熱意×能力で、勝てる「戦場」を選ぼう!〜佐藤義典コラムオーマイニュース

 ここまで、1〜4回では「強み」について、5回目の前回は「戦場」について考えてきました。まとめると、

  ・自分の強みは何か?
  ・自分は業種・職種など、どの「戦場」で戦おうとしているのか?

について考えてきました。今回は「戦場」と「強み」の関係について考えてみましょう。

〔合わせて、この「 戦略BASiCSの解説ページ 」をお読みください。全体像がつかみやすくなります〕

■「戦場」と「強み」:強みが活きる戦場で戦う

 前回、「職種」(経理、営業、人事など)と「業種」(メーカー、流通業、など)で自分が軸足とする、戦っていく戦場について考えてきました。

 では、その戦場をどうやって選べばいいのでしょうか? 戦場を選ぶ基準の1つは「どこで戦いたいのか?」という意思の問題です。「これがやりたい!」という強い熱意を持てる職種や業種があれば、それで選べばいいと思います。

 戦場を選ぶ基準の2つめは、「強みが活きるか?」ですね。自分の強みが活きない戦場で戦うと、勝てないとは言いませんが、大変な苦戦を強いられます。吉野家の強みは、早く、それなりにおいしいものを多数の店舗で提供できる、ということですよね。その強みは、高級焼き肉の戦場でも活きるでしょうか? かなり厳しい展開になると思います。高級焼き肉の戦場においては、吉野家のスピード、低コスト提供力、などの強みが活きないからです。

 私たちビジネスパーソンも同じです。わかりやすいところでは、計算に強い人は、経理にむいているでしょう。人当たりの良い人は、営業に向いていますよね。

 言うまでもなく、自分の強みが発揮できる戦場で戦う方が勝ちやすいです。医師になる、という方でも、手先が器用な方は手術をする外科医には向いていますよね。

 自分がどの戦場で戦うか、というのは、このように、

  1)自分はどこで戦いたいか、という意思の問題
  2)自分の強みが活きるか、という能力の問題

の2つの観点から考えていくことになります。

■強み弱みは戦場によって変わる

 自分の「強み」というのは、相対的なものです。あることにおいて「世界一」という場合で無い限り、必ず自分よりうまくできる人がどこかにいます。

 しかし、私たちがキャリア戦略を考えていく場合には、「世界一」である必要はありません(世界一であれば、それは素晴らしいことですが)。その「戦場」において、その戦場で戦っている競争相手より強ければいいのです。強み弱みとは相対的なもので、あくまでも同じ戦場にいる他人との比較になります。

 私の本職はマーケティングコンサルタントです。その一方で、パソコンの黎明期(30年近く前)からパソコンを使い、ちょっとしたITの資格もあります(昔の第2種情報処理技術者、現在の基本情報技術者)。

 このスキルは、IT業界で戦って行くには全く不十分な資格です。IT業界で戦っている方のスキルに比べれば赤ん坊以下かもしれません。しかし、マーケティング業界では、ITに詳しい方というのはそういないのです。エンジニア出身のマーケターの方というのは非常に少ないです。ですから、マーケティング業界で戦うに当たっては、ITのバックグラウンドが若干でもあり、IT業界の方々と共通の言語で話せ、ITの方々の仕事の仕方や立場がわかる、というのは大きな強みになるんです。例えば、営業やマーケティングのITの仕組みを作る、というときに、私はかなり価値の高いアドバイスができることになります。

 逆に、同じロジックで、IT業界にはマーケティングに詳しい方々がほとんどいらっしゃらないので、ある程度マーケティングの知識があれば、それは相対的に大きな強みになりかもしれません。営業やマーケティングのシステムを組むときに、エンドユーザーである営業やマーケティングの方々と同じ言葉で話せるというのは大きな強みになるわけですね。

 つまり、強みというのは組み合わせで威力を発揮するんです。上の場合で言えばマーケティング×ITという組み合わせですが、組み合わせは無限にあります。

  ・経理×営業
  ・IT×人事

など、いわゆる職種の組み合わせでもいいですし、それに

  ・冷静沈着で論理的
  ・熱く、人を巻き込むのがうまい

などの性格的特質も考えると、「自分だけ」というポジションを築けるんです。

 強みはあればあるだけ、幾何級数的に組み合わせが増えていきます。だから、1回〜4回で自分の強みを徹底的に考えてきたわけですね。そして、その分だけ、強みが活きる戦場も増えることになり、色々な選択肢が広がるんです。

 どうですか? キャリア戦略を考える、というのは思ったより奥深く、面白いものではありませんか?

(コラムニスト:佐藤 義典)

【関連記事】
佐藤義典コラム「マーケティング脳で切るキャリア戦略」

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080618-00000007-omn-soci