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2008年06月18日(水) 14時12分

「好き勝手にはさせないぞ!」 カルト集会所建設で、地域住民の強い意思オーマイニュース

 6月15日夜、宮崎市内の小学校の体育館で、神慈秀明会集会所施設建設阻止対策委員会(以下、委員会)による「宗教法人神慈秀明会集会所建設説明会」が開かれた。

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 あいにくの雨だったが、体育館に用意された500の席は埋め尽くされ、立ち見も出るほどの参加者であった。宗教法人神慈秀明会側からは、宮崎支部の責任者をはじめ、神慈秀明会関係者および設計者、建設会社の18名が出席した。私は委員会側と神慈秀明会側の様子が見える位置に座ろうとしたが、あいにく前の席はすでに詰まっていた。

 定刻の午後7時30分、委員会の代表のあいさつから、説明会は始まった。

 参加者に対し、これまでのいきさつの報告があった。委員会では、2007年に、署名4000人以上を集めた住民の反対運動により、秀明会が集会所の建設を断念した山口県周南市にも出掛けている。建設予定地が子どもたちの通学路にもなっていることで、子ども会育成協議会などの団体も強い関心を持っていることなどが紹介された。

 委員会側からもう1人、発言が行われたあと、神慈秀明会側による今回の集会所建設に関する説明が始まった。設計を担当した宮崎市のA設計事務所の代表者が説明を始めようとしたところ、会場から声が上がった。

 「俺たちは設計の話を聞きに来たのではない。あそこに集会所を建てるのか建てないのかということを聞きに来た」

 発言した男性は席を立ち、壇上に向かった。会場はヒートアップした。

 パワーポイントを使い、のらりくらりと説明している神慈秀明会側に業を煮やした男性はマイクを握り、「だれが設計しようが、誰が建てようか、それは関係ない」と発言した。ちょっと強引ともいえる男性の行動だが、カルト宗教団体の好き勝手にはさせないぞ! という強い意志が伺えた。

 設計に関する説明は中断。今度は、建設を担当するB工務店の関係者が壇上に立ったが、ここでも会場から声が上がった。

 「工事に関する説明はもういい。宮崎を代表するようなB工務店が、このような宗教団体の集会所の建設に関わるのか。B工務店の信用問題にも関わるぞ!」

 会場から拍手が上がる。ふとうしろを見渡すと、立ち見の方もかなりいる、この問題への関心の高さを物語っている。

 「住民の理解は十分に得られているのか!」

 「陰でこそこそと建設へ向けての手続きを進めているのではないか!」

 さらに、会場から声が上がり、しまいには、帰れコールまで出てしまった。

 神慈秀明会側は説明らしい説明ができなかったため、司会を通じて、質疑があれば受けると申し出たが、会場からは、「何もナシ!」の声が。

■もはや集会所建設説明会ではなくなった

 少し説明会の流れを修正しなければならないのでは、と思ったところ、参加者していた男性の1人が、「反対は反対で構わないが、これでは神慈秀明会がここに来ている意味がない。この主教がよいのか悪いのかは知らないが、彼らにも言い分はあると思う。それを聞くのも良いのではないか」ということで、なぜ、この地を建設場所に選んだのかということを神慈秀明会側にたずねた。

 神慈秀明会宮崎集会所は、宮崎市内の別の住宅地の中にあり、そこが老朽化し、おまけに手狭になってしまったので、不動産会社を通じて、宮崎市内で土地を探していた。そして、不動産会社からこの場所を紹介していただき、持ち主との話し合いで購入した。私たちは、新しくできる集会所近辺での勧誘活動はしない。土地を購入した段階で、当時の自治会長さん宅にも私どもが出向いてあいさつをした。

 この言葉に対して、その当時の自治会長であった男性が、壇上に近寄った。

 「私は、あなたたちと会ったことはないし、あいさつを受けたこともない」

 壇上付近には、さらに別の委員会関係者も数人が詰め寄り、緊迫した状況となった。

 「そんなのウソです!」

 と、私のすぐうしろの席で声が上がった。1人の小柄な女性が、声を震わせ、驚いた表情をしていた。何度か、「そんなのウソです。私は会ったことはありません」と繰り返していた。ふとその女性と目が合い、私が「奥さん、壇上で説明を」と、その女性を促した。

 壇上では、会った会わなかったの言い合いとなっていたが、このままでは埒が明かないと判断した委員会側は、神慈秀明会側に退席を伝えた。もはや集会所建設説明会ではなくなってしまった。

(後編に続く)

(記者:大谷 憲史)

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