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2008年06月18日(水) 22時17分

医学部定員増の決議を厚労相に提出—超党派議連医療介護CBニュース

 超党派の「医療現場の危機打開と再建をめざす国会議員連盟」(会長・尾辻秀久参院議員)は6月18日、舛添要一厚生労働相と大田弘子経済財政担当相に対し、医学部定員の削減についての閣議決定と、社会保障費の年間2200億円削減方針の見直しを求める決議を個別に提出した。17日に福田康夫首相と閣議決定の見直しについて合意した厚労相は、勤務医の労働環境にも言及し、「(勤務医不足は)偏在だけの問題ではない。全力を挙げてやる」と述べ、医師の増員対策に注力する意向を表明した。

 議連の決議は、▽「医学部定員の削減に取り組む」という従来の閣議決定を見直し、医学部定員を大幅に増加▽社会保障費の年間2200億円の削減方針を見直し、必要な医療予算を十分確保▽「わが国の医療現場は、あらゆる人々の理解と協力によって支えていかねばならない」との意識を国民全体に涵養(かんよう)▽勤務医の就業環境と待遇の改善に取り組む病院、医育機関、自治体、団体等への支援を抜本的に拡充—の4点。

 医学部定員については、削減に取り組むとした1997年の閣議決定を見直すとしており、具体的には定員を毎年400人ずつ増やし、現在の8000人を10年後に1万2000人にまで増やすことを打ち出している。診療に従事する医師数が2割弱増え、現在の約26万4000人から30万6000人にまで増加すると見込んでいる。
 厚労相は17日の首相との会談で、医師の数を増やす必要性について言及。閣議決定を事実上撤回することなどで合意した。議連の申し入れを受けて厚労相は、18日の「安心と希望の医療確保ビジョン」会議で、医師増員やスキルミックスなどの方針を打ち出した。また、勤務医の労働環境について、「労働基準法違反といってもよいような状態。一週間に80時間働いている人(の労働時間)を40時間に減らすだけでも、勤務医が倍要るということ。偏在だけの問題ではない。全力を挙げてやる」と、その改善も含む抜本的な対策を講じる考えを表明した。

社会保障費については、17日に大田担当相と会談したと述べた上で、「とにかく社会保障をきちんとやる。無駄を排除するが、財源の手当てについては強硬に主張したので、そういけると思う」と述べ、これを堅持していく姿勢を示した。

■省内改革断行を表明

 厚労相は同時に、省内の改革も断行する方針を表明。「わが厚労省含めて必要な改革をやらねばならない。見直すべきは見直す。霞が関に座って紙と鉛筆でやるのでは駄目。財務省もそう。現場を見ることが必要なので、できるだけ現場を歩こうと思っている」と述べ、議連の協力を求めた。
 共産党の小池晃参院議員は「この問題で後ろから鉄砲を撃ったりしない」と述べ、厚労相への協力姿勢を示した。

■後発医薬品や重複検査の効率化継続

 大田担当相は「歳出・歳入一体改革は重要だが、医療本体の機能を損なってまで財政を再建すればいいとは思っていない」と述べた。17日に示した「骨太の方針2008」の素案について、「後発医薬品や重複検査など、既定経費の中で効率化できるものはせねばならない。しかし、医療現場で起こる医師不足、救急医療、勤務医の待遇改善、産科や小児科の問題にはしっかりと対応すると素案に書いた。財源については、無駄をゼロにして、政策を立て直す。それでもというときは、負担の議論をセットで考える」とした。
 これに対し、議連の尾辻会長は「くれぐれもシーリングの時に変なことをしないように」とクギを刺した。


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