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2008年06月18日(水) 23時05分

舛添厚労相「医師増員は省内改革の一環」医療介護CBニュース

 舛添要一厚生労働相は6月18日、私的諮問機関の「安心と希望の医療確保ビジョン」会議で医師の増員策を盛り込んだ報告書案が了承されたことを受け、今後の議論の場について、「わたしの直属の組織をつくるのも一つの考え方。厚労省改革の一環としての位置付けも必要」と述べ、医師の増員を厚労省改革の一環として実施する意向を表明した。

 厚労相は、福田康夫首相と17日に会談し、医学部の定員削減に取り組むとした1997年の閣議決定を見直すことで合意している。医師増員策については、会議後の記者会見で以下のように述べた。

 「養成する大学や教官の数が足りなければ前に進まないので、諸条件を考えた上で、一定の数字を出したい。当面どういう所で議論するかだが、わたしの直属の組織をつくるのも一つの考え方。厚労省改革の一環としての位置付けも必要。今から具体的に、数字を確定するための人なり、組織なりを固めていきたいと思っている。机上の空論にならないように、予算編成や税制改正の過程など、秋や冬に向けて、必要なときに必要なインパクトが出るようにしたい」


 同日事務局から示された報告書案では、安心と希望の医療確保の3本柱として、▽医療従事者などの数と役割▽地域で支える医療の推進▽医療従事者と患者・家族の協働の推進—を据えた。

 医療従事者などの数と役割の中では、医師数の増加の方策として医師養成数の増加を挙げており、「現下の医師不足の状況にかんがみ、従来の閣議決定に代えて、医師養成数を増加する」と明記している。2006年の「新医師確保対策」や07年の「緊急医師確保対策」によって最大で395人の増員が可能になっていたが、あくまで削減方針の下での「前倒し」策だったため、将来は増えた分が削られることが前提になっていた。また、17日の経済財政諮問会議で示された「骨太の方針08」の素案に「これまでの閣議決定に代わる新しい医師養成の考え方について検討する」との文言が盛り込まれていることも後押しとなり、今回の方針で大幅な医師増員に踏み込んだ。

 医師数の増加の方策ではこのほか、▽(看護師など)コメディカル雇用数の増加▽総合的な診療能力を持つ医師の育成▽臨床研修制度の見直し▽歯科医師の養成-を打ち出した。

■公務員医師の非常勤勤務も提案

 医療従事者などの数と役割では、医師数の増加のほか、医師の勤務環境や診療科のバランスの改善、チーム医療の充実を挙げた。この中で、「短時間正社員制度」の導入などによる女性医師の離職防止・復職支援や、公務員の医師が週に数回地方の医療機関で非常勤勤務するなどの多様な勤務形態の導入について示した。麻酔科の標榜についての規制緩和の見直しも挙げた。このほか、助産師が正常分娩を扱えるよう、院内助産所や助産師外来の普及を図り、助産師の増員と資質向上を図るとした。医師と看護師や薬剤師、臨床検査技師などとのスキルミックス、メディカルクラークの活用も挙げている。


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