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2008年06月18日(水) 14時40分

iPhone 3Gはビジネスでは使えない?——アナリストらがセキュリティ面を懸念Computerworld.jp

 7月11日に発売予定のスマートフォン「iPhone 3G」を米国Appleが発表してから1週間以上が経過した(関連記事)。しかし、セキュリティ機能を含むiPhone 3Gのビジネス向け新機能が大手企業で利用するのに十分かどうかは、今のところ不明だ。判断の材料となる基本情報が不足していると、業界の著名なアナリストたちは口をそろえている。

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 米国Gartnerのアナリスト、ケン・デュレイニー(Ken Dulaney)氏は6月16日、iPhone 3Gに関する8ページにもわたる“熱い”リポートを消費者向けに公開した。一方で同氏は、新バージョンのiPhone向けソフトウェア開発キット(SDK)「iPhone 2.0」が7月11日にリリースされるまで、大企業のIT関連部門はiPhone 3Gを導入するかどうかの最終決定を下すべきではないと忠告している。

 また、米国J.Gold Associatesのアナリスト、ジャック・ゴールド(Jack Gold)氏は、iPhone 3Gはセキュリティとサポート面に不安があるとして、企業向けとしては不十分と結論づけている。Gold氏は、iPhone 3Gが盗まれた場合の対策として、ネイティブのデータ暗号化技術が搭載されていない点を特に懸念している。

 Dulaney氏も、「iPhone 3Gはファイアウォールにもネイティブ暗号化にも対応していないため、銀行や政府機関では利用されないだろう」と指摘する。ただし同氏は、iPhone 3Gでも将来的には暗号化機能が搭載されると見ている。

 iPhone 3Gに関する詳細な機能検証の機会をAppleはアナリストたちに与えていないため、リリース前にiPhone 3Gを評価することはできない。一方で同社は、新ソフトウェアおよびSDKのテストには多数の大手企業の参加を許可しているが、各企業は参加条件として秘密保持契約を結んでいるため、その詳細は不明である。

 アナリストたちは、ベータ・テスターが口を閉ざしているのは仕方ないことだと言うが、こうしたAppleの“秘密主義”はかえって逆効果ではないかと見る向きもある。また、Appleの動向を報告するブログなどでも、同社が市場の興味をそそるためにもったいぶっていると非難する声も多い。

 Dulaney氏は、GartnerではiPhone 3Gの新機能を実際に試しておらず、「エンドユーザーに対してAppleが約束した『ビジネス向け機能の強化』が、本当に実現されているかどうかを判断することは非常に困難だ」と述べた。

 Dulaney氏は、セキュリティ機能の基準とすべき携帯端末はBlackBerryだと話す。一部のアナリストはiPhone 3GがBlackBerryと競合すると予測しているが、それを判断するには時期尚早だとDulaney氏は述べている。また、セキュリティ面で言えば、iPhone 3GよりもWindows Mobile搭載端末のほうがすぐれていると付け加えた。

 Dulaney氏は、ビジネス・アプリケーションの配布に「iTunes」を利用しなければならない点についても、望ましくないと指摘している。また、米国以外の国でハードウェア/ソフトウェア双方のサポートをAppleがどのように提供していくのかも不明だとしている。

  Gold氏、Dulaney氏ともに、iPhone 3Gのビジネス向け機能に疑問を呈している。その一方でDulaney氏は、たとえITマネジャーが承認しなくても、下位モデルで199ドルという低価格や魅力あるアプリケーションなどにより、iPhone 3Gがビジネス市場に浸透していくことはまちがいないと予測する。iPhone 3Gのリリース後、各IT部門は同製品についての理解を深めておくべきだと同氏は語っている。

(Matt Hamblen/Computerworld米国版)

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