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2008年06月17日(火) 00時00分

シニア世代向けネットサービス充実読売新聞

 パソコンに挑戦するシニア世代向けに、操作のしやすさや画面の見やすさに配慮したサービスなどが充実してきた。

操作楽チン/画面くっきり

インテルのサービス「アラカイネット」。大きな文字とアイコンで見やすさに配慮した=上原三和撮影

 半導体大手のインテルは今年1月、インターネットサービス「アラカイネット」(http://www.alakainet.com/)を開始した。インターネットからダウンロード(取り込み)する無料のソフトウエアだ。ニュースや電子メール一覧、写真アルバムや日記など、シニア世代にとって使用頻度の高い9種類の機能を表示する大きなアイコン(絵記号)が並ぶ。クリック一つで起動し、文字も大きい。

 また、利用者と同世代でパソコンに詳しいボランティアが簡単な使い方の相談にメールで応じるのも特徴だ。

 同社は昨年夏、ソフトウエア最大手のマイクロソフト、電子マネー「エディ」を発行・運営するビットワレットと共同で「誰にも優しいパソコンとウェブサイトに関する提言」を発表。色や形など見やすいアイコン表示、クリックできる範囲を広く取ることなど、パソコン環境の整備に取り組む。

 同社の江頭靖二さんは「シニア世代の不便を解消することは、世代などを問わず誰にも使いやすいものを作ることにつながる」と話す。

 インターネットの検索サイト「goo」は今年3月、「gooマスターズ」(http://masters.goo.ne.jp/)を始めた。高齢者でも見やすい茶色を基調にし、文字は見やすく黒色で大きめだ。運営するNTTレゾナントの中尾忠伸さんは「NTTの研究所で策定したシニア向けのデザイン指針を取り入れた」と話す。

 また、「大江戸散策」「プレミアム霊園を見に行こう」などイベントを随時実施し、余暇活用のヒントを提示する。

 パソコンメーカーの日本ヒューレット・パッカードは、指やペンで入力できる「タッチスマートPC」を販売。「家族向けですが、高齢者にも使いやすいものです」と同社。

 総務省の「情報通信白書」によると、インターネット利用率は、2006年は60〜64歳が59・7%、65〜69歳が48・0%、70〜79歳が32・3%で、03年に比べて各世代で20ポイント以上伸びた。また、市場調査会社シニアコミュニケーション(東京)が昨年、インターネットを利用する50歳代以上の男女約1000人に行った調査では、情報・通信手段として「非常に必要」「必要」と答えた人が、男性60歳代以上で95%、女性60歳代以上でも96%に上った。

 シニアのIT活用に詳しい多摩大学総合研究所の松本祐一准教授は「企業がシニア世代の動向をつぶさに見て、多様な情報を受発信できるネット環境を整えていくことは、シニア世代の生活の充実にもつながるはず」と話す。

http://www.yomiuri.co.jp/net/feature/20080617nt06.htm