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2008年06月16日(月) 12時12分

カルトから町を守ろう──「神慈秀明会」に反対運動オーマイニュース

 宮崎市から宮崎県立看護大学へ向かう県道337号線を車で走ると、宮崎南バイパスの高架をくぐり向けたあたりから、民家の壁や田んぼの中に、ある看板を多く目にする。

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 そこには、「神慈秀明会集会所建設反対」と書かれている。少し気になり、インターネットで検索したところ、宗教法人・神慈秀明会が住宅地に集会所を建設することになっているとのこと。子どもたちの通学路にもなっていることから、すべての地域住民が安心して暮らせるためには、カルト宗教団体の集会所建設には断固反対するということである。

 神慈秀明会被害ネットワークHPによると、過去に、「信者にノルマを強いる」「強引な浄霊活動をしている」「多額の借金をしてまで献金させられた」「学生が学校に行かないで宗教に走っている」という問題があり、献金活動について神慈秀明会側は非を認めているが、何の責任もとってはいないという。また、このウェブサイトには、被害体験談や神慈秀明会の真相、元信者からのメッセージが書かれているので、参考にしてほしい。

 さて、神慈秀明会の集会所建設反対運動は今に始まったことではない。1995年の長野県松本市における最初の建設反対運動では、地元住民の反対運動が功を奏し、建設阻止にいたった。

 そのドキュメンタリーは、その後、書籍として出版され、さまざまなカルト宗教の建設反対運動における参考書として活用されている。

 2005 年には大阪市淀川区で住民が反対運動を展開、同じく05年には横浜市青葉区でも住民の反対運動が行われ、どちらも集会所建設の阻止に成功した。しかし、 2006年横浜市戸塚区では、地元住民が反対運動を展開するも、大手建設会社が強行着工し、2007年に集会所が完成した。現在、住民が集会所の監視を行っている。

 2007年山口県周南市では、署名4000人以上を集めた住民の反対運動により、秀明会は集会所の建設を断念した。

 そして今回、宮崎市での集会所建設に対して、地元住民が反対運動を展開しているところである。

 5月11日、地元の各自治会で集めた署名をまとめ、7名の委員からなる「神慈秀明会集会所施設建設阻止対策委員会」が結成された。この委員会を中心に反対運動が展開されているが、これとは別に、この反対運動を支援している個人によりウェブサイトが開設されている。

 このウェブサイト「宣言:『神慈秀明会』集会所建設に反対します。」を管理しているチョコ氏にメールでインタビューした。

───今回の集会所建設をどう思いますか?

 「神慈秀明会の集会所予定地に隣接する住宅地の住民はみな危機感を抱いています。もう近辺はご覧になりましたか。国道沿いにはずらりと建設絶対反対を訴える看板が並んでいます。予定地のところも、建設反対の看板が取り囲んでいます。みなさんの必死さが伝わってくるようです」

───インターネットで反対運動を展開していますが。

 「ひと月ほど前に委員の1人に聞いたところ、建設阻止対策委員会のほうで公式サイトを作るという話はまだないようでしたので、私は自分の考えで建設反対を表明するサイトを作り、多くの人に今の問題を知ってもらい、考えてもらおうと、一住民の立場から得られる情報を自らネットで発信することにしました」

───これまでに何か変化はありましたか?

 「数日前には県外の支援者が、ネットで積極的に情報発信しているのが私だけということに危惧(きぐ)の念を示してくださったばかり。インターネットの問題に強い報道機関が私たちの住民運動を見守ってくださり報道していただけるなら、これほど心強いことはありません」

  ◇

 チョコ氏は委員会のメンバーではなく、あくまでも反対運動を支援している個人として、インターネットで情報を発信している。そのため委員会が公式に発表するものと若干の違いがあることをご了承くださいとのことだった。

 6月15日には、地元の小学校の体育館で、神慈秀明会および建設会社の関係者による住民説明会が行われる。また、現在開会中の6月市議会でも、2人の市議が集会所建設問題を取り上げることになっている。

 私もこの件については継続して取材を続けていくことにする。

(記者:大谷 憲史)

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