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2008年06月16日(月) 12時07分

もう内視鏡はつらくない!? 注目の「鼻からファイバー」オーマイニュース

 経験のある方にとって、内視鏡検査は苦手という人が大半でしょう。

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 胃がんの内視鏡検査にとって福音になるかもしれない、経鼻(けいび)内視鏡が開発され使用できるようになりました。

 ご存知の方も多いと思いますが、内視鏡検査はファイバースコープや先端にCCD(固体撮影素子)を搭載した電子スコープを用いて、直接消化器粘膜を観察する方法です。

 日本人のがんの上位に位置する「胃がん」、その胃の検査に使われる胃カメラ(経口内視鏡)は嘔吐感などの不快があるため嫌がる人も少なくありません。2度と受けたくないと訴える人もいます。

 このため、細い内視鏡を鼻から入れる嘔吐感のほとんどない「経鼻内視鏡」が注目されています。苦しくない内視鏡で定期的に胃がん検診を受けることは、がんの早期発見や治療に効果的であると考えられています。

 6月14日(土)横浜みなとみらにあるランドマークホールで、富士フィルム・メディカルフォーラムが開催され、自分に合った胃がん検診をみつけるために、「鼻から内視鏡検査」についての講演とパネルディスカッションが行われました。

 静岡赤十字病院内科・検診部長(経鼻内視鏡センター長)である川田和昭氏の講演に続いて、インテリな落語家として知られる、三遊亭楽太郎さんと、みなとみらいメディカルスクエア院長の石川廣記先生とのパネルディスカッションに移りました。

 講演の経鼻内視鏡の臨床的なメリット(6000例)に関するお話からすると、どうやら患者に優しい内視鏡の様です。その証拠に受診した人の96%が、「次回も鼻から」と答えているそうです。講演の内容をまとめると次の通りです。

■経鼻内視鏡検査のメリット

1)従来の口から入れる内視鏡検査は、検査する際に舌の奥にある舌根部に触れるために、咽頭反射が起こり、誰もが「オエー」となってしまいます。鼻から入れる内視鏡検査ではスコープを鼻腔から直接食道へと通すことで、 舌根に触れないため従来あった苦痛から開放される。

2)従来の内視鏡検査では、マウスピースで口がふさがれ、スコープも口から入るため検査中に話はできませんでした。鼻からスコープを入れる場合は、口がフリーとなり医師と会話しながら検査を受けることができる。

3)内視鏡検査では、咽頭麻酔を行うため検査後すぐに飲水や食事をすることはできませんが経鼻内視鏡では鼻腔への局所麻酔 を行うだけで済むため、検査後すぐに食事をすることができる。

 更に安全性の面でも麻酔ゼリーの使用量が従来の2分の1から3分の2となり、経口内視鏡に比べ心身ともに患者の負担が軽い検査方法だそうです。

 続いて経鼻内視鏡の経験がある三遊亭楽太郎さんを交えた「楽だから鼻だから」のシンポジウムに入りました。

 終始軽妙な洒落で聴衆を沸かせながら使用経験を語りました。従来に比べ、とても患者の負担が軽い検査であることを強調されていました(たとえば検査中、医師と会話ができる、検査後すぐ食事ができる、など)。

 胃がん検診とは異なりますが、楽太郎氏は56歳の時に大腸検診を受け、初期がんが見つかり大事に至らなかったことを告白(?)、内視鏡による検査の大切さを訴えかけていました。

 ディスカッションの結論として、経鼻内視鏡の登場によって「胃カメラのハードルを下げてくれた」ことが何よりもの成果であるとのことです。

 胃カメラ検査に恐怖心を抱いている方は、次回の検査で「経鼻内視鏡検査」を試されることをお勧めします。

(記者:宮本 聰)

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