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2008年06月16日(月) 11時58分

「タクシーの駐停車OK」に見る役人のご都合主義!?オーマイニュース

 国家公務員の不祥事が後を絶たない。内部告発による「接待タクシー」問題などタクシー券の乱用がやり玉に挙がり、料金を水増ししてキックバックする詐欺行為の疑いも出てきたという。

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 省内を調査しても、官僚が自分たちでやるのだから、調査結果といっても批判が大きくならない程度のものしか出してこないことは分かっている。ここは外務省か財務省の役人を一人に絞って徹底的に調査し、場合によっては詐欺罪で立件するぐらいの手を打たないと、タクシー券の乱用はもちろん、税金の無駄づかいや公務員の不正は改善できない。

 そんな公務員のご都合主義は、道路標識まで見られる。

■何故タクシーはオッケー?

 東京・霞ヶ関の財務省、外務省前の桜田通りは交通量も多い。駐車禁止の道路標識が出されているのは分かるが、何故か「タクシーの客待ちを除く」の除外事項が付いている。

 外務省前の道路に工事用のトラックがとまっているのを警察官が注意していたが、トラックの運転手は接待タクシーの件を持ち出して抵抗していた。警察官もやりづらいらしく、お互いに笑い顔だ。

 警視庁前はさすがにそのような標識はなかった。そこで国土交通省など霞ヶ関周辺はどうかと見て回った。

 ほとんどが「8-18 駐停車禁止 人の乗降を除く タクシーの客待ちを除く」と「駐車禁止 タクシーの客待ちを除く」の2つの標識が掲げられていた。何のことはない、タクシーは24時間駐停車OKなのだ。

■警察官も苦笑い

 道路標識を撮っていたら、近くで警戒中の警察官が近づいてきた。私が「どうしてタクシーは駐停車OKなのか」と聞くと、警察官は「いきさつは分からない」という。今話題になっていることなので苦笑いしている。

 一方で、外務省上の交差点近くでは「8-18 駐停車禁止 人の乗降を除く」「駐車禁止」とあり、タクシーの除外事項はない。これが本来のやり方ではないかと思うが、このあたりはタクシーにとっては都合の良い場所ではなかったので除外なしに文句を言わなかったのかも知れない。

 国会図書館前ではタクシー乗り場を指定している場所もあるが、近くのタクシー乗り場では警察の警備車輌が対向車線を逆走したとしか思えないような駐車の仕方をしていた。

 結局、霞ヶ関周辺はタクシーに関しては甘く、国家公務員の「わがまま」「ご都合主義」が露(あらわ)になっているが、これに税金のムダ遣い、詐欺まがいの行為が絡んでいるとしたら問題だ。

 3年ほど前の新聞社の調査で、公務員、政治家を信用できないとしたのが85%という報告があったが、今も変わらないだろう。国家公務員に自浄作用は期待できない。

■「当たり前のこと」がやっと

 国土交通相の冬柴さんが6月13日の記者会見で、本省の職員約4000人に対してタクシー使用を禁止し、職員は自分で支払いをして後で精算するようにしたという。これで「公務員の意識改革や残業のやり方を見直すことが出来れば」と言う。当たり前のことがやっと分かってきたのかという感がする。

 国家公務員は長い役人生活で「役人天国」の意識がこびりついている。それを直すのは民意を反映した国会議員の仕事である。その国会議員がダメなのは、有権者である国民がそれなりの人材を国会に送っていないことになる。

(記者:矢本 真人)

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