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2008年06月15日(日) 13時13分

大型ショッピングセンターがやってきた!──街づくりの明と暗オーマイニュース

 石川県・小松市に12日、大型のショッピングセンターがオープンした。小松空港と小松駅を結ぶ幹線道路の途中にできた「フレスポ小松」だ。北陸に展開する食品スーパー「アルビス」、ドラッグストアの「キリン堂」、衣料スーパー「しまむら」、100円ショップの「セリア」、三菱石油セルフスタンド、全国チェーンのコインランドリー「しゃぼん」、歯科医──が入居し、これまで住宅地であった地域の住民には歩いていける便利な商業施設である。元は水田が広がる土地であったが、道路も拡張し、歩道、自転車道と広くとられ、安全にも配慮された施設となっている。

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 このショッピングセンター構想は、国道8号線を東西に見て、西はこの施設、東にはイオンが大型店舗を出すとのことで、駅周辺の地元商店街は反対の意思表明を行っていた。しかし、詳しい状況は分からないがこの春にその不服申し立てを取り下げたことを新聞で知った。住民サイドは今後の高齢化社会を見据えたとき、歩いていける距離につくられた施設であり、歓迎の声が多く聞かれた。また、イオンの進出で現在8号線の西で営業しているジャスコ新小松店が取り壊されるのではないかと言ううわさがあり、市議会の方に継続営業を求める住民の請願が出されている。

 では、これらの企業の進出は諸手を挙げて賛成すればいいのかと言えば、問題も多く残る。前述した企業は、地元のものではなく、ほとんどが全国展開の大手である。この近くには、以前から営業している酒屋、クリーニング店、及びそこが運営するコインランドリー、ガソリンスタンドなどがある。その地元の店舗が困窮する危険性が十分ある。

 例えば、オープニングセールの5日間、ガソリンは5円ほど安くなっており、会員になると10円引きに相当する。スーパーと同じポイントカードを利用できる。道を挟んだ向かいにあるスタンドの痛手は測り知れない。

 開店初日は木曜日にもかかわらず、駐車場に長い列ができる盛況振りであった。週末にかかるオープニングセール期間はおそらくこの状態が続くことは間違いない。今後の高齢化社会に対応できる街づくりは大切であろう。しかしこうした地元の中小の店舗をつぶしてしまうことが本当に良いことなのか疑問である。

 企業誘致による雇用の創出、法人税の増収など行政にはプラスの面は多いかもしれない。しかし細々と自分の店舗を伝えていこうという夢を大切にする中小の人たちの思いもまた大切にしていかなければならないのではないだろうか。

(記者:曽野 千鶴子)

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