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2008年06月15日(日) 00時44分

<岩手・宮城内陸地震>落石防止工事中に生き埋め 2人死亡毎日新聞

 14日朝の岩手・宮城内陸地震で、宮城県栗原市花山本沢熊倉の国道398号沿いの落石防止工事現場で作業中に生き埋めになった門脇特殊工業(山形県鮭川村)の従業員、五十嵐正巳さん(54)と門脇義富さん(53)=いずれも鮭川村=は心肺停止状態で見つかり、14日夜、死亡が確認された。

 「何でよ……」。幅・高さ各約50メートルにわたり崩落した現場から2人が担架で搬出されると、家族がすがるように近づき悲しみの声を上げた。

 同社によると、2人はベテランの作業員。約1カ月前から、休日を除き、朝現場に向かい午後7時ごろ会社に戻る生活だった。

 五十嵐さんの自宅にいた親族の男性は「まじめ一本でした」と言葉少な。近所の女性は「物腰が柔らかく、優しい人でした。娘さんが今春、高校生になったばかりだったのに」と声を詰まらせた。

 門脇さんは、母と妻、高校3年の次男(18)の4人暮らし。山形市で働く長女(21)と、宇都宮市で働く長男(20)とは別々に暮らしていたという。

 自宅にいた次男は「朝9時半ごろ、会社の人から電話があり、父が地震で行方不明になったと言われた。母は現場に行ったきり戻ってこないし、何の連絡も来ない」と疲れ切った様子だった。

 2人を含めて計3人が行方不明となった現場では、同僚作業員らが、ぼうぜんと座り込んでいた。

 工事関係者によると、この日は斜面に落石防止用に固定するロープを通すため、岩に穴を開ける作業を予定。午前8時半ごろ、7人が斜面の仮設モノレールで約130メートル上の山頂へ。五十嵐さんら3人が斜面の土を造成した階段を下り始めてすぐ地震が起き、崩落した土砂に埋まったらしい。

 地震発生時、近くにいた同僚の佐藤寿幸さん(53)は「次のモノレールで別に8人が上る予定だった。地震があと5分遅かったら、全員落ちていた」とつぶやいた。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080615-00000002-mai-soci