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2008年06月14日(土) 08時01分

加藤容疑者、事件直前トラックで勤務先封鎖計画…秋葉原無差別殺傷スポーツ報知

 東京・秋葉原の無差別殺傷事件で、殺人未遂容疑で現行犯逮捕された派遣社員・加藤智大容疑者(25)が、事件直前の6月初旬に「トラックを横付けして工場を封鎖してやろうか」と話していたことが13日、分かった。勤務先の工場側が派遣社員をリストラする計画が浮上した時期で、工場への嫌がらせ計画は蓄積していた仕事への不満の一端とみられる。

 大量殺人の前に、ストレスの元凶だった勤務先に刃(やいば)を向けようとしていた。

 加藤容疑者は6月初旬、同僚男性に「4トントラックを工場の正面に横付けして、封鎖して嫌がらせをしてやろうか」と話していた。嫌がらせの話をしたのは、昨年11月から勤務していた静岡県裾野市の自動車部品工業「関東自動車工業」が派遣社員に対し、6月末までに大幅な削減をすると説明した直後だった。

 関係者によれば、リストラ計画は約200人から約50人まで減員するもの。加藤容疑者はかねて同僚には「ここで正社員になりたい」と話していたが、自身が削減対象だと思っていたという。

 実際に嫌がらせは行わなかったが、事件3日前の5日朝には、更衣室に作業着がないと激怒し、工場を飛び出して無断欠勤。犯行を決意し、標的を勤務先から何の関係もない一般市民へと切り替えることになった。

 警視庁万世橋署捜査本部は、仕事への不満がうっ積していたことが犯行につながった可能性もあるとみて、背景を調べている。

 一方で、捜査本部は救急隊員の証言や防犯カメラの映像解析などを進めた結果、事件で死傷した17人のうち14人は、加藤容疑者がトラックで突っ込んだ歩行者天国の交差点付近で倒れ、3人は離れた場所で倒れていたことが判明した。

 調べでは、加藤容疑者はトラックで歩行者天国の交差点に突っ込み、男性5人をはねた。ここで3人が死亡、2人が軽傷を負った。そして交差点から約70メートル東でトラックを降り、交差点に戻りながら刃物で通行人らを刺した。トラック近くには死亡した武藤舞さん(21)ら3人、交差点内で6人が倒れていた。

 さらに交差点から南に約80メートルの路上には死亡した宮本直樹さん(31)が倒れていた。加藤容疑者は、交差点から南へ約50メートル先の路地を右に入った所で取り押さえられたが、路地の先でも男女2人が倒れていた。宮本さんとこの男女2人は通りで刺された後、逃げ込んだとみられる。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080614-00000083-sph-soci